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「オピニオン」ある夫

Posted April. 08, 2005 23:17,   

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人並みはずれて寡黙な彼(53)は妻が1男1女を産んだ後、腎臓疾患を患ってきたが、普段はこれといった愛情表現をしていなかった。しかし、彼の人生においては妻のことを大事にすることが一番に優先することだった。彼は、随時透析をしなければならない妻がより良い環境で治療が受けられるよう、日本へ連れて行った。二回も日本での研修を許してくれた職場の配慮がありがたかった。1998年、家族を残してひとりで帰国した彼がは、2年後、職場に辞表を出して妻のいる日本へ渡った。

◆今年初め、14年間持病で苦しんできた妻のため、自分の腎臓ひとつを移植することを決心する。妻の病状が悪化した上、かさばる治療費が手に負えなくなったためだ。大学生の息子がずっと前から「いつでも母のために私の腎臓を移植する」と言っていたが、軍服務を控えていることが気になった。検査結果、幸い夫婦間の腎臓移植が可能だという通報を受けた。

◆正直、彼は怖かった。特に友達から「シンガポールで夫婦間で腎臓移植の手術をする途中、夫が死亡した例がある」という話を聞いてからは、夜よく眠れなかった。痩せた夫を心配した妻が手術を数日後に控えて、「私がもう少し我慢するから、移植をやめたらどうか」と言ったとき心が揺れたが、平気を装って退けた。手術前日は息子を呼んで、「父と母が二人とも起きられないかも知れないから、心を鬼にしていなさい」と話した。

◆移植手術は成功裏に終わった。彼が手術後、病床の妻に言った言葉はたかが「大丈夫かい」という挨拶だけだった。3ヵ月ぐらいソウルで通院治療を受けなければならない妻を残して彼は来週初め、日本へ戻る。「もう離婚されることはないだろうね」という周りの冗談に彼は、「海兵隊出身の無愛想な慶尚道(キョンサンド)の男が結婚して30年間、妻にしてあげられたのは二つの腎臓のうち一つをやっただけ」と言い、にっこりと笑った。「心の苦労」と「体の苦労」がひどかったはずの彼の顔が、飛びきり明るく見えた。

吳明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com