憲法裁判所・全員裁判部は21日、新行政首都建設特別法の憲法訴訟事件で、裁判官9人のうち8人の意見として、特別法に対し、違憲決定を下した。これによって、特別法は効力を喪失し、政府の行政首都推進計画も事実上取りやめとなった。
憲法裁は同日、7人の多数意見として「ソウルが首都だということは、憲法上に明文条項があるのてはないが、朝鮮(チョソン、1392〜1910年)王朝以来、およそ600年にわたる長い慣習によって形成された不文憲法にあたる」と指摘した。その上で「大韓民国の首都をソウルの代わりに他の所に変えるためには、憲法が定めた手続きに基づく憲法改正が行なわれるべきだ」とし「政府は、憲法改正の手続きを経ておらず、憲法第130条第2項の国民投票権を侵害していることから、特別法は違憲だ」と明らかにした。
金栄一(キム・ヨンイル)裁判官は、違憲に関連した別の意見で「首都移転は憲法第72条が定めた『国家の安危に関する重要政策』にあたるため、国民投票を経なければならないが、それを無視したため、国民投票権を侵害したもの」と指摘した。
しかし、全孝淑(チョン・ヒョスク)裁判官は「首都の所在地は、憲法の目的を実現するための道具にすぎず、必ずしも憲法改正を通じて決定しなければならない事項だと断定できないため、国民投票権を侵害したという請求人らの主張は、不適法だ」とし「却下」の意見を示した。
これに先立ち、ソウル市議員50人を含めて大学教授・公務員・大学生などの169人からなる請求人団は7月12日、「首都移転が国民投票なしに強行されていて、憲法が保障している国民投票権を侵害している」などの理由から、憲法訴訟を起こしていた。
与党が、首都移転のために改憲を進めるためには、国会議員の3分の2(200人)以上の議席を確保しなければならない。しかし、与党ヨルリン・ウリ党の議席は現在151席であることから、野党ハンナラ党の同意なしには、現実的に改憲を進めることが不可能だ。
違憲決定が下された直後、政府スポークスマンの鄭順均(チョン・スンギュン)国政広報処長は声明を発表し、「政府は新行政首都建設推進委員会など、法的効力を与える行為を中止することにした」と伝えた。
同日、李海瓚(イ・ヘチャン)首相とウリ党指導部は、首相公館で緊急の政府与党連絡会議を行い、今後の対策作りに向けて、党政策委員長と国務調整室長、大統領府政策室長を共同委員長とする、党・政・官の特別協議体を設けることを決めた。
ウリ党の金賢米(キム・ヒョンミ)スポークスマンはブリーフィングを行い、「バランスの取れた国家発展と首都圏規制の緩和は、国家発展のため非常に重要な価値であり課題だ」とし「そのため、連絡会議では国民の世論を聴取し、合理的かつ適切な対策を慎重に打ち立てていく計画だ」と述べた。
李秀衡 尹永燦 sooh@donga.com yyc11@donga.com






