一代で財を築いた米国の大金持ちがあるホテルに泊った時のことだ。世界的な金持ちである彼は、ホテルで一番安い部屋に泊まった。すると、ホテル・マネージャーが彼の部屋を訪れてあいさつした後、控え目に言った。「先週、ご子息は、私どものホテルで最も大きくて立派な部屋にお泊りになりました。今からお部屋を移しましょうか」と。大金持ちは微笑みながら首を横に振った。「私の息子は金持ちの父がいるから高い部屋に泊ってもいいが、私の父は貧乏なんでね」と。
◆ブランド品に対して結構眼目のある家庭の子が高校に在学している時のことだった。ある日、その子が半分冗談交じりで、「パパ、僕の夢は財閥2世になることなんだ」と言うのを聞いて、父親はびっくりした。「財閥を作るというのではなく、財閥2世が夢だって…。この子はなぜそんな夢を持つようになったのか」。その子は自分の将来の夢ではなく、ブランド品をいつでもいくらでも買ってくれる「金持ちのお父さん」が持てなかった惜しさを吐露したのだ。一生、お金より名誉が大事と思ってきたお父さんは、その後、かなり長い間、衝撃と自己恥辱感から脱することができなかった。
◆「親の日」を控えて大学文化新聞が就業情報サイトのパワージョブと共同で、大学生606名を対象に、「親にあったら良いなと思うのは何か」という質問をした結果、「財力」をあげた回答が44%と圧倒的多数で1位を占めたという。大学生の半分ほどが金持ちのお父さんを期待している世相を反映したわけだ。続いて、「理解と包容力」(18%)、「人脈」(5%)、「学歴」(4%)、「リーダーシップ」(4%)の順で表われ、「何もない」と言った回答者も17%だった。
◆子どもをスパルタ式で育てた日本の有名政治家は、いつか自分の著書で「若死にする父親が一番理想的な父」と言ったことがある。頼る所のない状態から、自分一人の力で立ち上がった人間だけが立派な人物になれるという意味だ。子どもにブランド品を気楽に買ってあげられる金持ちパパでもなく、喜んで若死にするほど勇気あるお父さんでもない親は、「親の日」に子どもたちからカーネーション1輪もらうことだけでも恐縮しそうだ。親に気に入られる子どもになるのも難しいが、子どもに気に入られる親になるのはもっと難しくて大変な世の中になった。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






