
●「太極旗を翻して」を撮影した簡易駅
簡易駅につながる同区間は、蟾津江(ソンジンガン)の流れと鉄道、国道(17号)が並んで走っており、全羅線(チョルラソン)区間のうち最も風景のいいところとされている。一般列車で行くと10分足らずの距離だが、時速20km以内で走れば、往復1時間程度かかり、窓外の風景がじっくり吟味できる。最初の駅である旧谷城(コクソン)駅に差し掛かると、数十年前の風景に立ち帰る。現代施設は何一つとして見当たらない懐かしい田舎町と調和をなした、この小ぢんまりとした簡易駅は、そこはかとなく和やかな雰囲気を漂わせている。
ここは、最近上映中の映画「太極旗(テククキ・韓国の国旗)を翻して」の撮影舞台でもある。韓国戦争で突然避難を余儀なくされるジンテ(チャン・ドングォン)とヨンシン(李・ウンジュ)の家族。ところが、避難列車に乗るため到着した大邱(テグ)のプラットフォームでジンテとジンソク(ウォン・ビン)は強制徴集され、軍用列車に乗り込ませられて家族、愛する恋人と生き別れをする場面だ。
映画でここは、別れと悲しみ、憤りの入り混じった泥沼といわんばかりに描かれているが、もともとは悠々閑閑たる風景だ。田舎の簡易駅の殺風景な様子も見当たらない。改札口を通り抜けて中に入ると、蒸気機関車から最新型超高速列車まで汽車の変遷史を物語る彫刻物が目に付く。
その隣には藁屋根の小屋の形をした憩いの場所も設けられていて、人の心を和ませてくれる。
●のろのろミニ列車
ミニ列車がゆっくり出発する。蟾津江に沿って山の曲がり角を回るたびに、閑寂な田園風景が屏風のように広げられる。ひっそりと流れる蟾津江と広々とした田畑、その田畑に屈んだ姿勢で忙しく働いている人たち…。その平和な姿に釘付になってしまう。ビニールカーテンの隙から、そよそよ吹き込まれる春風さえ、暖かい感じだ。
谷城駅から南に3kmの地点にある好谷里(ホゴクリ)には、物静かな好谷の渡し場があり、もう少し行くと、赤い橋脚に揺れ動く敷物が敷いてあり、一目でそれとわかるドゥガの吊り橋がある。夜は橋脚の下に五色の照明灯がつき、恋人同士のデート場所にはもってこいだ。
カチョン駅に着いたら、列車から降りて南の方にやや歩いてみよう。鴨隳(アプロク)町鴨隳川の川辺には、3万坪あまりの広い砂浜がユニークな趣をたたえている。穏やかな蟾津江が見どころの代表的な憩いの場所のひとつだ。
●ガチャンガチャンレール自転車
ミニ列車とは別途に旧谷城駅舎では、鉄路上の自転車に乗る変わった体験もできる。自転車の輪と鉄路がかみ合うようにしてあるため、自転車に乗れない人もペーダルだけ踏めば、簡単に乗れる。ミニ列車が走る鉄路を除いた残りの鉄路を利用し、駅舎内の300m区間で往復できる。
自転車は、恋人同士や家族が乗れる2人向け、4人向けもある。一般的に2人向け自転車は前後にまたがって乗るが、ここでは横に並んで向かい合うようになっているため、対話を交わすこともできる。最初は、自転車が重くて力を多く入れなければならないが、調子に乗れば1人で乗ってもうまく前に進む。ペーダルを踏めば、鉄路の上でガチャンガチャンとした音が列車の音と似ていて、まるで機関車になったような気持ちだ。
レール自転車に乗り、ミニ列車のように蟾津江伝いに走ればいいと思うが、残念ながら駅舎内でしか乗れない。安全事故を予防するためだという。
ミニ列車は、週末と祝日に一日4回運行されており、パッケージ観光客が要請すれば随時運行される。ミニ列車とレール自転車は観光公報のため、10月まで無料で運行される。





