Go to contents

<世界を聞く>虞美人の泣声か…切ない琵琶の音

<世界を聞く>虞美人の泣声か…切ない琵琶の音

Posted March. 03, 2004 23:29,   

①十面埋伏と古蜀道

中国の文化は悠久で多様だ。しかし、このような中国の文化も「歴史」という息づかいを吹き込まないと、生き生きとよみがえることはできない。中国の伝統音楽を代表する琵琶演奏曲「十面埋伏」も同じだ。

十面埋伏とは「四方が敵に埋め尽くされ…」というぐらいに訳される切羽詰った状況。楚の項羽が漢の劉邦軍に敗北し、垓下で包囲され、乾坤一擲の最後の勝負を控えた(BC202年)当時、四方を囲んだ漢の兵士の中から楚の歌が聞こえ、項羽と兵士らは「漢がすでに楚を占領してしまったのか。どうして楚の人がこんなに多いのか」と悲しんでいたという。「四面楚歌」の実際の状況がまさにこの垓下の戦闘だ。

劉邦の心理戦に巻き込まれた項羽陣営。その歌を聞いて郷愁にふけ、戦意を失ったまま結局、十面埋伏の状況で凄惨な敗北を迎える。この曲の素材がこの垓下の戦闘だ。しかし、実際はこのような一つの象徴的な事実を通じて中国歴史の一般的な状況を描いている。音楽一曲を通じて覗いてみる悠久な中国の歴史。この音楽はその意味と教訓を噛みしめさせる歴史のプリズムと言える。

歴史から学ぶ世の中の営みと真理。そうであれば、我々には「垓下の戦闘」よりは、かえって蜀漢の諸葛亮と魏の司馬懿が展開した「五丈原の決戦」がより身近に感じられる。小説のように展開される中国の三国の歴史が高句麗の歴史よりもなじみあるからだ。

そういう点からみると、十面埋伏は三国の歴史が生き生きと息づいている古蜀道を旅して聞いたほうがよさそうだ。「昔の蜀の道」を歩いてみるのは、時空を超越した歴史の旅行であるとともに、我々の社会を映し出す鏡にもなる。

古蜀道への旅に先立ち、当時の三国の浮沈をさぐってみよう。魏の曹操は漢の勢力が弱くなり、早い状況判断と果敢な行動で政権を握る。吳の孫権は厚い民心をもとに長江南部の穀倉地帯に国を興す。この隙を突いて、ある勢力が民のためになるという名分で、一つの地域を制するが、それが蜀の劉備だ。

そんな中国の歴史が我々に残す教訓は、民の選択がまさに天の意思であり、歴史はそういう方向で流れていくということだ。

中国人の思考構造は「歴史の循環」だった。しかし、循環を超越した発展の論理が今日の我々に求められるパラダイムだとすれば、険しく、美しい昔の蜀の道を歩きながらも、ものすごいスピードで発展していく中国の姿に我々の目を向けなければならない。そして、賢明な人はよその国の歴史からも多くのことを学ぶように、花が咲き誇る5月には、我々の社会も葛藤の構造が共生の構造に変わり、大同団結する姿を見せてくれることを望む。そうなれば、私は皆様に十面埋伏より笛で演奏する梅花三弄を勧めて新しい話しを聞かせてあげたい。