「韓国社会は一人通せば全部知り合い」という。検察や警察などに呼ばれれば、その理由を調べる前に、誰かコネはないかとあちこち聞いてまわるのが韓国人だ。新兵訓練所などでは内務班長の故郷の隣に住んだことがあったり、彼の恋人と同じ小学校を出たという理由だけで特別待遇を受ける場合もある。地縁と血縁、学縁と人脈への理解は、韓国社会を知るためのキーワードだ。
◆ある大学研究所が世論調査専門会社に依頼して韓国人の「社会ネットワーク」を調べたところ、「3.6」という数字が出た。まったく知らない間でも、3、4人程度介せば皆知り合いだという意味だ。もちろん人によって差はある。全国に兄弟と呼び合っている間柄が2万人にのぼるという名士と、孤児も同然の無名氏の人的ネットワークが同じであるはずはない。とにかくいい町に引越して、名門学校に進学するのも実は高級な人的ネットワーク作りのための長期投資なのだ。
◆新聞社に勤めていると、たびたび記事掲載の依頼を受ける。文化部の出版・美術・音楽担当記事には特にその類の依頼が多い。それを見ると「韓国社会で本を出す人で新聞社に知り合いのいない著者がなく、音楽や美術を専攻する妻や子女のいる家長で新聞社にコネのない人はいない」という現実に驚く。もちろん、そのような依頼を処理した結果はほとんどが「不十分だ」という反応だ。
◆西洋には「知り合いを6人たどれば世界中の人とつながる(Six Degrees of Separation)」という話がある。300人程度の知人がいて相手もそれぐらいの交際範囲を持っているとすれば、誰でも1人を介するだけで9万人の知人を持つことになる。4人たどった知り合いは9万人の二乗の81億人にのぼるのだから、算術的には世界の60億人と皆知り合いになるという計算だ。まさに「What a small world(世界は狭い)」なのだ。逆に考えてみよう。私がある知人の便宜を図ってあげれば、そのつけがその知人のほかの知人にまわっていくわけではないか。






