「同時多発テロ後、特に北朝鮮が濃縮ウラン(HEU)核開発を認めて以来、対北朝鮮政策はブッシュ大統領が直接扱う事案の一つだ。米国の安保と直結した問題と考えているためだ」
ワシントンで会った米政府当局者や専門家たちは、韓半島問題に対する米国政府の見方が、同時多発テロ以前とは著しく変わったと話す。特に、ブッシュ大統領が直接対北政策を扱うことで、「チェイニー・ファクター」(Cheney Factor、チェイニー副大統領の影響力)がより重要になったという。
▲クリントン政権との違い〓目に付く変化は、韓半島政策に対する実質的な結論が、実務責任者や外交チャンネルではない最高位級の閣僚が参加する会議から出るという点だ。実務陣の勧告案がかなりの部分反映されていたクリントン政府とは異なる変化だ。
ワシントン政府当局者は、「米国は、(韓国と違って)北朝鮮が海外に大量破壊兵器(WMD)や技術を輸出する可能性を憂慮する。それは、米国の国家安保に対する直接的な脅威になるためだ」と説明した。
クリントン政権とのさらなる相違は、政策決定過程でシンクタンクや学界からの参加が減ったという点だ。クリントン政権は、シンクタンクや学界の論文、政策提案書を長時間をかけて多角度から比較分析した。ヘリテージ財団のバルビナ・ファン研究員は、「まるでセミナーをしているようだった」と回想する。
特に米外交協会(CFR)の報告書は、対北政策の基調にそのまま反映された。韓国外交通商部のある関係者は、「当時CFRが、対北政策の提案報告書を作成するために、韓国に調査チームを派遣して政府当局者と学界人物に会えば、およそどのような基調の政策提案になるか予測可能だった」と述べ、「韓国政府に事前に草案を送り助言を求めるなど、密接な交流があった」と話した。
今は雰囲気が一変した。ジョージタウン大学のスタインバーグ教授は、「最近は非公開を前提に政府高官が会っても、聞くことができる話は広報冊子に出ている程度のレベルだ」と述べ、「ブッシュ政権は懸案に対して歴代のどの政権よりも口を固く閉ざすことで有名だ」と話した。
最高位級閣僚会議で結論が下される他の理由は、米行政府内の分裂のためだ。政府当局者は、「懸案に直接関わっていなければ、内容を知ることは難しい」と述べ、「それだけ秘密は守られるが、包括的な合意点を導き出すのは難しい」と語った。最高位層に上がる前に実務者レベルで意見が異なる場合が多く、分裂の様相が露になるということだ。代表的な事例が、昨年4月の北京3者協議と8月の第1回6者協議。
3者協議が開かれる直前、代表的強硬派のラムズフェルド国防長官は、ホワイトハウスの参謀たちに3度にわたって手紙を送った。特に3通目の手紙では、米国の代表団長を(穏健派のジェームズ・ケリー国務次官補から)ジョン・ボルトン国務省軍縮担当次官やホワイトハウス国家安保会議(NSC)のロバート・ジョセフ不拡散担当官に変えるように要求した。ボルトン次官は、「国務省内のラムズフェルド・ライン」で知られる強硬派だ。
代表団長は変わらなかったが、ケリー次官補は、北朝鮮と直接話してはならないというホワイトハウスの厳重な指示を受けた。その結果、会談でケリー次官補は北朝鮮の質問に「私の原稿を読んで下さい」とオウム返しの返事しかできなかったという。
約3ヵ月後の12月7日、米紙ワシントンポストは当時の雰囲気をこのように報じた。「国防総省とホワイトハウスNSCが見つめる状況で、ケリー次官補はもはや話しをする考えはなかっただろう」
ジョージタウン大学のビクター・チャ教授は、「対北政策をめぐる政府内の分裂は、もはや秘密ではない」とし、「論争の結末が見えないため、最終決定権を持つ大統領が直接乗り出さなければならない場合が生じる」と説明した。
▲チェイニー・ファクター〓国務省の高官を務めたワシントンのある関係者は、「ブッシュ政権の特徴は『チェイニー・ファクター』だと言える」として、「穏健派と強硬派が対立する度に、強硬派に力を与える決定的人物がまさにチェイニー副大統領だ」と述べた。
外交政策に対する国務省と国防総省の意見の対立は、米政府の「伝統的葛藤」だが、強硬派の国防総省側に力を与える決定的な役割は、チェイニー副大統領が果たしてきたということだ。
しかし通常の場合、ブッシュ大統領の決定前の最終調整役は、ホワイトハウスのライス安保補佐官が担う。ある政府当局者は、「ブッシュ大統領は、ライス補佐官にそれぞれ異なる意見を総合して報告するように指示したが、その過程でライス補佐官が自分の意見を話すようだ」と言った。ライス補佐官は、NSC会議の時は他の意見を聞くだけだが、大統領に会議の結果を報告する時は、自分の「検討意見」を添えるという。
スチムソン研究所のアラン・ロンバーグ研究員は、「NSCで働いた経験から、『国務省と国防総省がそれぞれ異なる意見を出したが、NSCはこのように考える』という論旨のNSCメモほど、大統領に強力な影響力を行使するものはない」と説明した。
ブッシュ大統領は、私的な席で「私は新聞を読まない」と述べ、「先入観のないコンディ(ライス補佐官の愛称)がまさに私の情報源だ」と言うほど、ライス補佐官を信頼しているという。また他のワシントン関係者は、「ライス補佐官は、ブッシュ大統領との対話法に精通している」とし、「大統領が何を不便に感じ、何を言うことが大統領に最も楽で影響力を持つかを正確に把握している」と話した。
大統領に対する直接的な影響力はないが、政府内の韓半島情勢に精通した「専門家」としては、国防総省のリチャード・ローレス副次官補(東アジア太平洋担当)が挙げられる。夫人が韓国系で、米中央情報局(CIA)出身、韓国で長く勤務し韓国語を上手に駆使する。国務省では、デーヴッド・ストローブ韓国担当課長が断然「韓国通」だ。
ホワイトハウスNSCでは、日本と韓半島問題を担当し、最近アジア全体を管掌するNSCアジア太平洋担当先任補佐官に昇進が内定したマイケル・グリン氏、アジア太平洋担当補佐官に昇進予定のチャック・ジョーンズ氏、ボブ・ジョセフ不拡散担当先任補佐官、ウィリアム・トビー不拡散担当補佐官が実質的な「韓半島担当」と言える。






