スポーツの英雄に対する熱狂は、その時代の社会的状況と密接な関連がある。人々が暗い現実と不確実な未来から脱することを願えば願うほど、スポーツが生み出す英雄に没頭する傾向がある。若者を中心に広がった昨年のワールドカップの熱気を通じて、韓国の若者の悩みと欲求など他の意味も読み取ることができる。日本プロ野球で万年ビリのチームだった阪神タイガースがリーグ優勝して、日本列島が興奮している。消費回復などで経済波及効果が6兆ウォンにのぼるという分析も出された。韓国では、「それほど熱狂することか」と思うほど白々しい感じさえする。
◆18年ぶりに果たした阪神の優勝が、ドラマチックな要素を持っていることは事実だ。98年から01年まで4年連続最下位を記録し、選手は続く敗北に無感覚になっていた。しかし今年の阪神の選手は以前と違って、自信溢れる目でグラウンドに立った。前半の勝率が何と0.720。優勝はこの時に決まったといっても過言ではない。地元大阪のファンは、5万人を超えるホームグランドの観覧席を連日いっぱいにし、選手の善戦を応援した。底辺をさ迷い最高の地位にのぼった「シンデレラ・ストーリー」の典型である。
◆日本版「人生逆転」の主役は星野仙一監督だ。2年前に監督に就任し、力強いチームに変貌させたことで、日本企業の間では彼のリーダーシップを分析して現場に活かそうとする動きが活発だ。ワールドカップ以降、韓国企業がヒディンク監督を分析したことと似ている。星野スタイルの経営方式という意味の「星野イズム」という新造語も登場した。星野監督の改革哲学は「魂の野球」、すなわち精神力強化とされる。選手を厳しく叱ることで有名な彼は、2つの原則を掲げている。第一は、年俸が多い選手や責任が重いコーチにより厳しくし、第二は、叱った後に挽回できる機会を必ず与えるということだ。
◆「阪神タイガース熱風」の内幕には、強力なリーダーシップを渇望する日本社会の雰囲気が反映している。長期不況に苦しんできた日本人の挫折感は大きい。特に政治家の無能さには嫌気がさしていた。しかし今回の阪神の優勝で何か可能性を発見したようだ。力強いカリスマを持つ星野監督を政治家にしなければならないという主張まで出ている。リーダーシップ不在で深刻な悩みに陥っている韓国の現実と大差がない。政治はどこでも悩みの種だ。韓国政治の希望は、どこから見出すべきなのか。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com






