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[オピニオン]「コード」の混乱

Posted May. 04, 2003 22:07,   

肩書き上、一応は英文科の教授という仕事柄、このごろしきりに話題となっている「大統領とコードが合う」という言葉の「コード」の綴りはどうで、正確にはどのような意味を持つ言葉なのか、という質問をよく受ける。非常に困難極まる質問である。

時折「コード」を「cord」、つまり「紐」と考える人がいるようだが、いくら強い「絆」を持つ人々とは言え「cord」が通ずるとは言えない。かなりの人たちが「code」を考えているのではないかと思うが「code」が通じる、という表現の適切性と正確な意味は、かなり不明瞭である。「the Napoleonic Code(ナポレオン法典)」や「code of Hammurabi(ハンムラビ法典)」のように、成文化した法典を共有するという意味ではないだろうし、「unwritten code(不文律)」は、道徳や慣習的な規範であるから、これも違うような気がする。

◆「code」には「規準、慣例、礼儀作法」の意味もある。「the Confucian code of ethics」と言えば「儒教的道徳律」となり「the chivalric code」と言えば、騎士の行動規範となる。この意味も該当しそうに思えるのだが、必ずしも身のふり方の規準が同じ、という意味として使われるようではなさそうだ。

「記号、暗号」も「code」の持つ非常に重要な意味の一つである。「暗号」が通じる集団という意味で捉えることもできそうだが、まさか大統領とその側近を、秘密結社扱いするはずはないだろう。

◆「コードが合う」という言葉が、あるイデオロギー的な同質性以上に、心情的に通ずるという意味であるとすれば「chord」が、むしろ近いかもしれない。「chord」は、音楽の「和音」を言うが「感情、情緒、心琴」の意味も持っており「strike a sympathetic chord」と言うと「共感を呼ぶ」という意味になる。しかし、「chord」を用いて「コードが通じる」と翻訳するのは困難である。英語の「be in tune with(心が通う)」または「be on the same wavelengths(周波数が同じだ)」という表現の方が、より自然かつ近似した翻訳と言えそうだ。

◆何はともあれ「コードが合う」という言葉は、私たちがその中に、ある密かな意味を付与しているからこそおもしろい表現と言えるが、不幸にもこの「コード」が、「コード」の外にいるほとんどの国民に、疎外感と不安感を抱かせている。

このごろ、大統領と「コード」が合う、多数の新任高官たちを、国民は不安な気持ちで見守っている。これからは、要職に登用される人物のプロフィールから、大統領と「コード」が合う人、という紹介がなくなることを心から望んでいる。

徐之文(ソ・ジムン)客員論説委員(高麗大学教授) jimoon@korea.ac.kr