高泳耉(コ・ヨング)国家情報院長候補者が昨日人事聴聞会で明らかにした反国家団体関連の「見解」で議論が起こっている。高候補者は、「現行の国家保安法上『政府を僭称する団体』を反国家団体と見なす規定を削除すべきだ」として、北朝鮮を反国家団体から除外することもありうるという立場を示した。北朝鮮を主な監視対象とみなす情報機関の首長が口にした言葉だけに敏感に受け止めざるをえない。
北朝鮮を反国家団体とする国家保安法の改正問題は、国基と関連する重大な問題だ。高候補者は、「北朝鮮が対韓国革命路線を廃止したのが確認された場合」などの条件を加えたが、この問題は国情院長が単独で判断できる問題ではない。北朝鮮が根本的に変化するなど、全ての環境が熟した後、世論を十分に汲んだ形で決定すべきことだ。
前任の金大中(キム・デジュン)政府の太陽政策推進で、韓国社会は今北朝鮮に対する警戒心がずいぶん緩くなっている、北朝鮮が対韓国赤化路線を放棄したという兆候もまったくない上に、核開発問題も依然深刻な状態だ。こんな時に「石橋も叩いて渡る」べき情報機関の首長が、むしろ社会通念よりも先駆ける見解を示したことが果たして、慎重な行動と言えるか疑問だ。高候補者の対北朝鮮観は、えてして国民を混乱させる可能性がある。また、北朝鮮が韓国の対北朝鮮政策を誤判する恐れもある。
高候補者は国情院改革の注文を受けて任命された人物だ。聴聞会でも、高候補者は国情院を脱政治化して、国民の信頼を受ける組織に生まれ変わらせるとの意志を明確にした。だが、国家保安法改正が必要だとの発言が、国情院改革の根底に敷かれているとすればそれは困る。多くの議員が高候補者のイデオロギーと安保意識に疑問を提起したように、高候補者の前進的な考えがともすると、情報機関本来の機能を弱める結果に結びつくのではないか、との懸念を呼び起こすからだ。高候補者が成すべきことは、国家安保に向けて国情院の力量を集中させることにある。果たして、反国家団体に関する言及がこれに該当するかは疑問だ。






