公企業をはじめ、政府傘下機関の業績不振と非効率性の裏には、殆ど「天下り人事」があった。専門性とは程遠い人たちが役員に就いたことで、労使葛藤と放漫な経営を招き、結果として国民経済に損失を与えたのは事実である。大統領府が、このような公企業の人事システムを刷新することにしたのが、こうした人事の弊害を正すという趣旨からだとすれば、それは望ましいことに違いない。
ところが、政府と公企業の一部から、大統領府が人事刷新を口実にして、またもや政治家の大統領選における論功行賞に利用しようとするのではと、懸念の声が上がっている。実際、民主党は大統領府に対し、党内の人士数百人の公企業進出を要求しており、政界の実力者の周りにも公企業の役員ポストを狙っている人が少なくないからだ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「大統領が任命すれば無条件天下り、と言われては困る」と言ったことも、誤解の可能性がある。原則的には間違っていないが、公企業の周りからは「天下り人事に向けた合理化発言では」との分析がささやかれている。
昨年末の基準で、従業員だけでも20万人あまり、年間予算が100兆ウォンを超えるほど、公企業がわが国の経済に占める割合は大きい。公企業の役員に優れた経営能力が求められるのは、つまりこのためだ。そのようなポストが、政界から移ってきた素人で満たされるとすれば、経営の透明化や、業務の専門化を通じた公企業の体質改善と競争力の強化は、初めから期待できなくなる。
それゆえに、今回新しく作られる公企業の人事システムは、まず政治的なプレッシャーを徹底して遮断し、外部の人物が必要であれば、経営能力、専門性、改革性を綿密に検証する仕組みにならなければならない。国民の推薦や社長推薦委員会の公募など、いかなる方式を導入しようとも、それが権力側の「白羽の矢を立てた人物」を追認することにすぎないとすれば意味がない。KBS(公共放送局)の社長を推薦する過程で、気苦労の多かった池明観(チ・ミョングァン)KBS理事長が「大統領が様々なタイプの人材を使わずに、周りから人物を探すのが問題」と言ったのは、公企業の人事にもそのまま当てはまることに違いない。






