政権引き継ぎ委員会が「参加型政府」国政の3大目標、4大原理、12の課題をまとめたが、重要なことが一つ抜けている。すなわち、引き受ぎ業務の基本である現政権の国政遂行に対する診断と評価のないのがそれだ。
新政権の出発点は現政権であるしかないということや、国政の連続性維持が引き継ぎ委の存在理由だということから、現政権の国政評価に対する総合的かつ体系的な分析に重きを置かなかったことは残念だ。これまで、引き継ぎ委の試行錯誤や越権に対する指摘と批判が続いたことも、これと無縁ではないはずだ。
詳細課題が100を遥かに上回る新政権の国政課題を一言で評することは難しいが、概して現政権の国政基調から大きく脱しないうえ、改革色が強化された感じを与える。特に経済、労動、社会分野での分配と参加、差別解消と福祉がいっそう強調されていて、推進過程での論争が予想される。
引き継ぎ委が示した国政方向と主要政策は、新政権の国政運営に相当影響を与えるに違いない。新しい青瓦台(チョンワデ、大統領府)の秘書陣も、全体的に引き継ぎ委と性格が似ているから、なおさらだ。しかし、若手学者中心の引き継ぎ委が、わずか50日で国政全般の問題点を詳しく把握することは大変だっただろう。当然、国政課題をうまくまとめることも困難だったはずだ。それだけではなく、引き継ぎ委の国政課題が拘束力を持つわけでもない。
新しい内閣が、これをうまく調整してこそ、試行錯誤を減らすことができる。内閣は国政課題の具体性、実現可能性、予想される效果などをよく考えて、表向きの国政課題を選り分けなければならない。その次に予算と立法の裏付け、社会的要求と世論など国政環境を念頭に、優先順位を決めなければならない。また原則は守るが、状況変化には柔軟に対応できるという実用的態度を取るべきだ。現実にそっぽを向いたまま、理念と名分にだけこだわると、国政の破局と国論分裂をもたらす危険がある。
内閣は引き継ぎ委と違って、国政には練習はあり得ない。政権初期の国政課題の調整機能が5年間の国政の成否を分ける。






