「ネ・アル・ナド(俺の息子を産んでくれ)」。各マスコミの選ぶ「今年の流行語」に必ず入っているこの言葉は「俺の子どもを産んでほしい」という意味の慶尚道(キョンサンド)方言。しかし、表面の意味しか知らない人は、時代遅れでユーモアのセンスのない人と言われる。この言葉の裏に隠されている意味は「愛してる」だからだ。これを全羅道(チョンラド)方言で言うと「アッタ、コシギホヨ(おい、あれ(愛)してるよ)」だ。KBS2TVのお笑い番組「ギャグコンサート」の「日常方言」コーナーは29日に開かれた「KBS芸能大賞」で新人賞を受賞した。
◆英会話を教える形を取って日頃よく使う言葉を慶尚道と全羅道の方言に変えるこのコーナーは、慶尚道の人間と全羅道の人間の気質を悪気なく比較し人気を集めている。カップルがキスをしたいときに使う「きれいな唇だね」をどう変えるのか比べてみよう。全羅道の「フックン タラオルヌングマイン(体が熱くなるね)」には婉曲で核心を避ける「自分」中心の言い方が、「ジュイ、ジャバムンナ?(ネズミ食ったのか)」という慶尚道の表現には大胆かつ直接的で相手中心の言い方が用いられていることが分かる。最近放映された「俺がお前の先輩だ」では、全羅道(チュモニエソ ソンペランケ(ポケットに手突っ込むな))も慶尚道(ヌン カララ(なに見てんだよ)も過激なことには違いがないが。
◆昨年、映画「チング(友へ)」に始まった芸能界における方言ブームは、国民の「地方人化」と言っても過言でないほど全国に広まった。SBSドラマ「明朗少女成功記」は「サランヘユ(愛してます)」「アジャシヌン・チャム・ナプン・サラミグマンユ(あなたってほんとに悪い人ね)」など忠清道(チュンチョンド)方言を流行させ、忠清道ブームを巻き起こした。歌手のカンサンエは、咸鏡道(ハムギョンド)方言のラップ「ミョンテ(スケトウダラ)」を披露した。また、済州道(チェジュド)方言だけを使う演劇「アプサナ タンギョラ、オグマ ミロラ」も盛況を博している。冷たい感じの標準語ではとても表現しきれないみそ汁のような温かさや人間味を感じさせる。
◆今月19日に行われた大統領選もこうした方言ブームの例外ではなかった。釜山(プサン)のチャガルチ市場で商売をしている中年の女性が釜山方言を使って行ったテレビ演説、盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領が慶尚南道(キョンサンナムド)での遊説で口にした「ウチャルランニコ(どうしますか)」は親しみとともに地域感情も呼び起こしたと指摘されている。このため、ソウル大学のイ・ヒョンボク名誉教授は「選挙のたびに助長される地域感情も方言の発音のため」と指摘する。方言自体が地域感情をつくるとは言えないだろう。むしろ、その地域について親しみを感じるという人も多いからだ。韓国語なら何でも美しいように、方言も固有の情緒や歴史を反映する大切な文化遺産だ。どんな意図でどう使うかは、使い手にかかっている。
金順徳(キム・スンドク)論説委員yuri@donga.com






