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世界の変貌

Posted December. 13, 2002 22:44,   

デヴィッド・ヘルド他3名/チョ・ヒョジェ訳/888頁/4万ウォン/創作と批評社

経済、文化、政治など各分野で国境の崩壊を象徴する「グローバリゼーション(Globalization)」は、ある地域の発展が地球の反対側の個人や共同体の生活にまで重大な結果を及ぼすこともあるという認識を反映する。これは何よりも国単位の制度や考え方には限界があるということを意味するものだ。1960年代にフランスや米国で使われ始めた「グローバル化」という概念は、もはや世界の主要言語では日常的に使われることばになった。

しかし、このような「グローバル化」の重大な影響力に比べ「グローバル化」に関する学界の研究は、主に経済や文化に偏っているのが現状だ。これを深刻に受け止めた英国の4人の学者が10年の歳月をかけて書き上げたのが『世界の変貌』。

その4人とは政治学のデヴィッド・ヘルド(ロンドン政治経済大学)、国際関係学のアンソニー・マクグルー(サウスハンプトン大学)、社会学のデヴィッド・ゴールドブラッド(イギリス公開大学)、経済学のジョナサン・フェラトン教授(シェフィールド大学)。

4人はグローバル化に関する研究を政治、軍事、貿易、金融、生産、移住、文化、環境の8つの分野に広げ、その研究時期を現代から先史時代にまで拡大した。これを通して個別の領域で「グローバル化」が及ぼす相互作用を把握し、その中で派生した「グローバル化」自体の発展論理を追跡した。

こうした総体的研究は、グローバル化の短期的特性と長期的傾向を区分し、グローバル化の変化段階を文明史的考察のもとに設定できるようにする。同時に歴史的比較を通じて現在起きているグローバル化の本質を把握するのにも役立つ。

英オブザーバー紙の編集者、ウォル・ハットン氏は同書について「これまでに試みられたグローバル化の議論のうち最も徹底的かつ精巧で、権威のある研究」と評価した。各分野にわたるばく大な資料の収集や、これにもとづいた共同研究の成果は、韓国の学界としてはとてもうらやましい学際間研究のモデルでもある。

また、もう一つ関心を集めるのは、翻訳者の学問的誠実性だ。聖公会大学NGO学科の教授でもある訳者のチョ・ヒョジェ教授は、1999年に原書が発刊されたため、その時間差を補おうと、著者のヘルド教授の補論「米同時多発テロ以降のグローバル化」を載せた。また、研究方法論やグローバル化関連の略語も付録にまとめてある。

まとめた編訳書『NGOの時代』(創作と批評社)も発刊しているチョ教授は、18ヵ月間この膨大な著作の翻訳に専念、「研究件数を重視する学界の新自由主義的傾向に抵抗したいという思いで終着点まで走ってきた」と話している。

『世界の変貌』はチョ教授が中短期的に推進している「NGO—グローバル化—地球市民社会—人権」に関する訳書・著書4部作のうち2作目。次の本も期待したい。