有権者がなぜ特定の候補に票を投じたのか、ブームを巻き起こしていた候補がどんな社会心理的理由から一瞬にして沈没したのか、なぜ他の候補が突然浮上したのかなどは、いつも気になる質問である。今回の選挙戦のように世論の風向きが突然変わったり、有権者が「最善」よりは「次善」や「次悪」を選択するしかなかったという雰囲気が広まると、ますますその理由を知りたくなる。
◆候補が提案するビジョンや政策をもとに投票する行為を「将来期待の投票(prospective voting)」という。逆に過去の政治を今度の選挙で評価する投票を「業績評価の投票(retrospective voting)」という。1980年、米国の大統領選挙でレーガン候補が勝利を挙げたのは、彼のビジョンや公約が理由だったというよりは、カーター大統領(当時)の政策に対する不満が強かったからだという分析がある。将来への希望より「政権に対する審判」で勝敗が決まったというのだ。今年6月13日に韓国で行われた地方選挙でも、候補が提案した未来へのビジョンよりは「現政権の不正への怒り」が勝敗を決めたと言える。
◆有権者は、選挙運動が行われている間、世論がどうなっているのか観察し、そうやって判断した世論の影響を強く受ける。大勢の支持を得ている候補に引かれる現象が「大勢追従」だが、言い換えると当選しそうな候補を支持することを言う。反対に、現実的な世論の分布とは関係なく、自分の支持する候補が勝つと予測する「投射」心理もある。この投射心理は、候補の政策に対する立場にも現れる。自分の押す候補がある事案にどのような立場を取っているのかもよく知らないのに、その候補の意見が自分のものと同じだろうと「投射」してしまうのだという。このような「投射」心理は「自己履行的な予言」に変わったりもする。
◆有権者もそれなりに自分の行使する一票の「価値」を計算する。自分の一票が当落にどれほど影響を及ぼすか、どういうプラスがあるのか、一票を行使するためにかかるコストと自分に戻っている利益のうち、どちらが大きいのか損益対照表を作ったりもする。その結果、投票への不参加が自分なりの「戦略」になったりする。無秩序に見える選挙も、それなりに有権者の理性にもとづいた計算と戦略的な投票行為の結果であるわけだ。
「理由のない投票」などない。すべての票の裏では、社会心理的な選択のメカニズムが働いているのだ。
カン・ミウン 客員論説委員(淑明女子大・言論情報学部教授)mkang@sookmyung.ac.kr






