米国フロリダ州テムパシ警察は、2000年に新しい実験を行った。アメリカンフットボール・スタジアムの入り口に設置したデジタルカメラで、入場する観客を撮影した後、最先端の顔認識システムを通じて、警察のコンピュータ資料に入っている犯罪容疑者の顔と一致する19人を瞬時に探し出した。閉回路テレビカメラ(CCTV)システムで録画した画像の顔を見ながら指名手配者を探していた従来の方法とは比べようがないほど、的確で効率的な科学技術だった。その結果に満足したテムパシ警察署は直ちに、このシステムを都市全域に導入し、多数のカメラで犯罪を監視しはじめた。バージニア州バージニアビーチ市が7月に米国では二番目に同システムを導入した。
◆無人監視カメラが最も多く設置されている国は英国だとされている。英国は交通違反車に対する監視カメラを世界で初めて実用化した国だ。都市全体に監視カメラを設置したのも英国だった。英国の市民は一日平均200〜300回は監視カメラに撮られているという。個人に対する社会の組織的な監視体制を描いた未来小説、「1984年」を書いたジョージ・オーウェルは皮肉にもが英国人だ。こうした監視カメラはすでに韓国にも幅広く活用されている。ビルの地下駐車場、車道、銀行の窓口、エレベーターの中、バスの車内、銭湯のロッカールーム、そして会社の事務室にいたるまで。
◆ソウル江南(カンナム)警察署が江南区論峴洞(ノンヒョンドン)の住宅街に犯罪予防のための監視カメラを4台設置することにした。この地域は多所帯住宅とワン・ルーム住宅が多く、ホテル・飲食店の従業員など夜遅く帰ってくる女性を対象にした強力犯罪が頻繁に発生しているためにCCTVカメラを設置し、通り道をリアル・タイムで監視することで犯罪を減らそうという試みだ。システム設置にかかる費用は5800万ウォン。ソウルでも金持ちの自治区として知られている江南区庁がその費用をもつ。
◆殺人・強盗など強力犯罪を画期的に減らし、住民の不安を鎮めることができれば、そう否定的に考えることではない。だが、これに対してすでに懸念の声が出ている。この通りを行き交う住民のプライバシーが損なわれるということだ。一方、犯罪者にはカメラ4台の位置把握は非常にたやすく、その効果が疑問視されているという。住民の私生活が損なわれ、犯罪予防には効果がないとすれば、さらに強力な手段が要求される。技術の面ばかりを考慮すれば、韓国も顔認識システムカメラが登場するのは時間の問題だろう。もはや韓国も、監視カメラの設置と規制に関する制度作りを議論すべき時が目前に迫ってきたのだ。
文明豪(ムン・ミョンホ)論説委員 munmh97@donga.com






