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[オピニオン]傾いた釈迦塔

Posted September. 23, 2002 23:09,   

イタリアのピサの斜塔が11年間の補修作業を終え、昨年再び公開されたことは、科学技術が成し遂げた快挙と言うべきだろう。もろい地盤のため、この塔を直立させることは不可能と考えられていたが、世界中から集まった専門家たちが先端技術を動員した末に、塔の頂上部分を43センチも持ち上げることに成功したのである。塔が傾く反対側にパイプを埋め込み、土を掘り出しては特殊機器を使って水分を取り除きながら弱い地盤を固めたことが効を奏した。この作業で、塔の傾き加減は1800年代初めの状態まで戻っている。科学が、タイムマシーンのようにピサの斜塔を200年前の状態に引き戻したのである。

◆歴史を専門に学んだ人たちに文化財の管理を委ねていた時代は、とっくの昔に幕を閉じた。文化財保存科学は、歴史だけでなく物理、科学、微生物学など、科学の全分野がかかわる代表的な統合学問である。それぞれの学問の水準もさながら、基本的に健全な財政に支えられなければならないために、先進国であるほど進んでいるのは仕方がない。発掘当時、見分けがつかないほどだった遺物が、保存処理過程を経て華麗な本来の姿を取り戻すのを見ていると、驚異そのものと言うほかはない。

◆仏国寺(ブルグクサ)にある多寶(ダボ)塔と釈迦塔が傾いたという。多寶塔が垂直から0.6度、釈迦塔が0.9度傾き、センチで計算するとそれぞれ10センチと12センチ傾いていることが分かった。まだ危険な水準ではないということだが、毎年傾いており、油断はできない。何時からか、文化財のき損は忘れかけたころになると聞こえてくる、定番のニュースになってしまった。先日、国宝1号のソウル南大門(ナムデムン)から石の欠片が転がり落ちたというニュースが聞こえたかと思いきや、今度は多寶塔と釈迦塔ときた。この程度なら、文化財のき損に関する限り、ショッキングなニュースはこれ以上聞こえてこないはずだ。

◆文化財のき損を防ぐには、関係人員を大幅に増員して、体系的な管理と補修に取り組むべきだとする声が挙がっている。もっともではあるが、それだけでは足りない。全国に散在する数多くの文化財の前で毎日見張り番、と言うわけにもいかないとあっては、人を画期的に増やしたからといって、必ずしも解決ということにはならない。それよりは、文化財を大切に思う心である。釈迦塔を造った石工のアサダルと妻のアサニョの伝説は、釈迦塔を建築した当時の人々の敬けんな心を見せてくれる。アサダルは、塔を建築する期間中、アサニョに会わなかった。ピサの斜塔や釈迦塔を建てた職人魂は似通っているはずだが、二つの塔の交錯した現実から、私たちはアサダルに恥ずかしさを感じずにはいられない。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com