首相代理に対する国会の承認がまたも否決される事態になったのは、何よりも金大中(キム・デジュン)大統領の責任が大きい。先月末、張裳(チャン・サン)氏が道徳性の問題で国会の承認が受けられなかったにもかかわらず、彼女よりも道徳性に欠けているとみられる張大煥(チャン・デファン)氏を首相代理に任命したからだ。一体大統領府の人事検証システムが十分に働いているのかと疑わずにはいられない。
張大煥氏の場合、偽装転入で住民登録法に違反し、不動産投機と所得税や贈与税の申告漏れの疑惑を受けた。毎日経済新聞の社長在任時に借り入れた巨額の会社の金の処理などの問題でも釈然としない疑惑を生んだ。彼は一部誤ちを認めたものの、その程度で彼の道徳性の欠陥をつくろうことはできない。
何よりも懸念されることは、首相不在による国政への支障である。首相が中心となった国政調停メカニズムがマヒする恐れがあり、首相が委員長である35の政府委員会の運営への支障も避けがたくなった。だからといって、それを野党側のせいとするのはいただけない。国政への支障の責任を野党に負わせるよりも、人事に対する反省が先行すべきである。
首相代理に対する国会の承認否決は、基本的に民心の反映と見なければならない。大多数の世論が、道徳性に問題が多いため首相にしてはいけないと考える人物を、国会が首相の地位に座らせたとなれば、それはむしろ国会が民意に逆行することだと言える。このような状況にもかかわらず、民主党が昨日の午後、一時国会の票決に参加しないという動きを見せたことは、状況認識を誤っているという感を与えた。
もはや金大統領がしなければならないことは、すぐに首相代理を指名して、国政への支障を最小限に抑えることである。首相不在の原因が「事故」ではないという狭い法の解釈を掲げて憲法にもない首相代理制にこれ以上固執してはいけない。首相代行を置いて適格な人物を新たに探し、首相候補に指名して再び国会の承認手続きを踏むのが道理にかなっている。






