Go to contents

[社説]金大統領はなぜ代理にこだわるのか

[社説]金大統領はなぜ代理にこだわるのか

Posted August. 02, 2002 22:37,   

金大中(キム・デジュン)大統領が、今回も首相代理を任命しようとしているようだ。人選、聴聞会、承認手続きをすべて終えるには、さらに1カ月ほどかかるだろう。政府組織法に従って首相職務代行を任命すれば、「首相不在」状態を即刻解消することができ、国政の空白を最少限に抑えることができるのに、金大統領が、違憲論争もかえりみずなぜこのようにこだわるのか理解しがたい。首相職務代行任命には、野党ハンナラ党も肯定的なので、政治的論争の余地は少ない。

大統領府側が掲げる論拠は少々苦しい。張裳(チャン・サン)首相代理に対する任命同意案否決は、政府組織法が規定した「事故」に該当しないため、首相職務代行を任命できないということだ。ならば、首相代理制度はどこに規定されているというのだろうか。憲法はもとより政府組織法にもない。むしろ憲法は、大統領の場合「有故」はもちろん「欠位」時にも、権限代行制度を認めている。これを準用すれば、首相職務代行の任命が、憲法の趣旨に合致する面がある。

現政権の発足後、内閣が首相職務代行体制で運営した前例がある。2000年5月、当時朴泰俊(パク・テジュン)首相が退任した直後、李憲宰(イ・ホンジェ)財政経済部長官が、3日間首相職務を代行した。その時も今も「首相欠位」状態であるにことには変わりない。その時は首相職務代行体制が可能で、今回は可能でないということも、納得しがたい。

金大統領が首相代理任命への未練を捨てなければ、重大な政治的誤解を生む恐れがある。また、消耗的な政争を誘発するに違いない。ハンナラ党は早くも、金大統領が首相代理任命にこだわるのは、張裳首相任命同意案の否決の責任を政界に転嫁するため、という疑惑も持ち上がっている。

金大統領は、なによりも国政の空白を防ぐために、すぐにも首相職務代行を任命すべきである。そして政界も、法体系と政治の現実との相違に伴なう混乱の解消に向けて、立法的な解決を模索しなければならない。