中国産ニンニクに対する「緊急輸入制限(セーフガード)不延長合意」を、金大中(キム・デジュン)大統領に報告していないという李起浩(イ・ギホ、当時経済首席秘書官)大統領特別補佐官の話を聞くと、自分の耳を疑うしかない。数多くの農民の命がかかっているニンニク問題が、大統領に報告もされずに決まったということになるためだ。李特別補佐官の主張通りだと、金大統領は息子問題に対しても「事前情報を受けていない」上、外国との重大な合意に対する報告さえも受けられない大統領であることになる。これは、金大統領が実に国政の核なのかをも疑わしいものにする。
今回のニンニク問題は、原則も責任感もないまま空転している任期末国政の現状をまざまざと見せつけている。一昨日は農民4000人余りがソウル都心に集まり糾弾デモを行うほど、国民の憤りも募っている。
交渉でのミスも問題だが、国民からの非難を恐れて交渉結果を隠し、ミスが浮き彫りになるともっぱら責任の押し付け合いに終始している政府高官の姿は国民をさらに刺激している。それに大統領までが報告を受けていないと主張している状況の中で、「ニンニク問題は、政府部処の安易な態度が招いたもの」という程度の金大統領の発言が、果たして傷ついた国民の心をどれほどいやせるか疑問だ。
大統領が過ちを認めたので、政府は交渉と報告ルートを綿密に調査し、誰に責任があるのかを明らかにすべきだ。とりわけ、大統領に報告しなかった経緯を徹底的に突き止めるべきだ。国政の報告体系がきちんと働かなかったのか、それとも参謀たちの判断ミスだったのかをはっきりしなければならない。政府がこの問題を治めるために口を合わせているというハンナラ党の疑惑提起に対しても釈明すべきだ。
過ちが明らかになれば、国民が納得できるような処罰が科されなければならない。 国民にうそをつき、責任逃れに終始している公職者を放置してはならない。それこそが、一部の公務員のミスで、数千、数万人の国民が被害を被るような不幸な事態の再燃を未然に防止する道だ。






