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林権澤監督と名誉博士学位

Posted July. 03, 2002 21:41,   

大学の名誉博士学位の授与が、一人の人間の真の成就に対する評価と敬意というよりも、かねと権力、名誉への願望、そして大学の広報手段に成り下がってしまったのが現実だ。そのような点で、2日に京畿道富川市(キョンギド、プチョンシ)にあるカトリック大学で行われた林権澤(イム・グォンテク)映画監督への名誉文学博士授与式は、大学や学位を受ける側いずれにも、意味深い大切な席であった。

大学側は、林監督の生涯と映画活動を一つひとつ紹介し、彼が映画を通じて果たした業績に敬意を表した。

演劇映画学科や映像関連学科のないカトリック大学で、何の縁もない林監督に異例に名誉博士の学位を授与したなぞも解けた。今年で開校147周年となるカトリック大学は、林監督も含めて9人だけに名誉博士学位を与えている。

オ・チャンソン総長(神父)は、学位授与の辞を通じて「林監督は、この40年間、映画人として個人的な苦難やくびきを乗り越えて、この時代を生きる私たちの鑑になった。監督の作品は、いかなるイデオロギーも人間の犠牲の上に君臨できないという人間愛の精神を基礎としている。これは、本大学の建学理念である『人間尊重』が持つ真の意味に符合することはもとより、韓国社会構成員みんなの鑑になると判断し、ここに学位を授与する」と述べた。

林監督の熱烈なファンであると自らを紹介したイ・ハンテク司教は、祝辞を通じて「カトリック大学が『スンイル中学3年中退』が最終学歴の林監督に名誉博士の学位を授与することにしたのは、一人の人間の真の成就は華やかな学歴ではなく、彼が何を追求し、それを通じてどんな業績を成し遂げたかを判断したからだ。そのような点で、私達の教育制度と学生、父兄に投げる無言のメッセージだ」と述べた。

自分の学歴に対して常に堂々としていた林監督は、ノートに書いた答辞を取り出して、淡々と読んだ。

「振り返ってみると、正規の教育を受けられず、ほとんど無学だった私は、映画監督という職業をもつうえで、多くの苦悩と不便そして劣等感の中で生きてきました。・・・私は、アジアの極東、韓国という国で生まれ育ちました。映画監督として私にできることは、そこに住んでいる人たちの生活と彼らだけが持つ文化的個性をフィルムに撮って、世界という大きな花畑を美しく飾る小さな花として、小さな部分で貢献したいと思います」

名誉博士学位を受けた林監督の「映像学位論文」が待ち遠しい。



oscar@donga.com