ロス所長は、国際政治専門誌フォーリン・アフェアーズの最新号(7〜8月)に掲載された寄稿文でこのように指摘、アラファト議長は、アラブ指導者の間で支持基盤がぜい弱で、国際社会が彼をパレスチナ人の指導者と認める「義務」はないとした。
クリントン政権の中東政策に深く介入してきたロス所長のこのような主張は、これまで国際社会に映ったアラファト議長の姿と相反し、ブッシュ政権の親イスラエル政策に力を与えるものと注目される。以下は寄稿文の要旨。
アラファト議長は、イスラエルとパレスチナ間の対立を助長することで、自らの政治的基盤を確保してきた人物だ。93年のオスロ和平協定の締結で、アラファト議長は和平よりは、何を獲得するかにだけ没頭した。
彼は、パレスチナ人に、オスロ協定が彼らが望むすべてのものをもたらす条約だと宣伝、オスロ協定が守られない場合、武力でこれに対抗することを示唆した。そして国際社会から暴力をふっしょくさせると約束した。彼のこのような約束は守られなかった。彼は二重人格だ。
アラファト議長は、2000年にクリントン前大統領とバラク前イスラエル首相の提案を拒否し、パレスチナ国家建設の機会を逃した。この提案は、パレスチナにガザ西岸地区とエルサレム領土の97%を認めるという内容を盛り込んでいた。
アラファト議長の側近は、このような内容は書類になかったと反ばくしている。しかし、当時私はクリントン大統領のこのような提案をはっきり耳にし、一言も逃さず記録した。
外部で知られていることとは違い、アラビア系指導者は皆アラファト議長に不信感を抱き、機会あるたびにその感情を吐露する。彼らがアラファトに反対しないのは、彼に代わる人物がいないためで、彼を支持するからではない。
何より彼は暴力を終息させるという約束を守らなかった。パレスチナ人は、彼らの指導者を選択できるが、国際社会が彼をパレスチナの代表者と認める義務はない。
結論は自明だ。中東問題に今米国が出る時ではない。実践可能な和平仲裁案は今のところ存在せず、もしイスラエルが和平案を受け入れるとしても、アラファトはこれを乱すだろう。
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