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[オピニオン]インターネット政治学

Posted April. 23, 2002 09:34,   

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ランニングタイム1分48秒、音声ファイルがネット世代の若者の間で急速に広がり、20日足らずの期間で900万人以上が接続する記録を打ち立てた。金大中(キム・デジュン)大統領が「F15自転車」を売りつけるブッシュ米大統領に向かって、全羅道(チョンラド)の方言で放言を吐く「猟奇金大中」ファイルは、インターネットの恐るべき伝播力を見せつけた一大事件であった。

このファイルの拡散速度からもわかるように、韓国はインターネットのインフラが世界で一番よく行き届いた国だ。インターネットのユーザーは2500万人に迫り、超高速通信網の加入者は800万人を超えた。超高速通信網の加入率でみると、韓国が世界1位で、米国と香港がその後を追っている。

インターネットのユーザーのうち、選挙権のない小、中学生や高校生を除いても、ネット世代の有権者は、1600万人を超える。97年の大統領選挙の時は、インターネットのユーザーが163万人にしか過ぎず、超高速通信網がまだ存在しなかったことを考えると、桑畑碧海に近い媒体環境の変化が起こったのである。

媒体環境の変化は、合法的あるいは非合法的な政権交代に決定的な影響を及ぼす。米国の大統領選挙史上初めてテレビ討論が行なわれた1960年、ジョン・F・ケネディは若く活力ある姿で女性有権者の心をつかみ、終始押され気味であった形勢を覆した。面白いのは、同じ討論をラジオで聞いた有権者の間では、ニクソンがよかったという回答が多かったということだ。

イランで、パーレビー王朝を倒したホメイニ師のイスラム革命は、カセットテープ革命とも呼ばれた。カセットテープの普及拡大の波に乗って、外国に亡命中のホメイニ師の演説テープが多数コピーされ、大衆を扇動して独裁政権との闘いに動員したのであった。

最近、両党の予備選挙の熱気の影響で、ページビューが急激に増えた一部インターネット媒体は、その影響力を誇示して紙新聞の衰退を唱えている。テレビが出現した時も、似たような予測がささやかれたものの、新聞は機能を特化して、むしろ発行部数と紙面を増やした。

地下鉄の中でコンピュータを起動することは難しく、ネット新聞が、ソファーに横になって読む紙新聞の簡便さには追いつけない。新しいメディア技術は、従来の媒体の機能に取って代わることはできても、消滅させることはできない。CDという革新的な技術が生まれたものの、簡便さや低価格のため、カセットテープは今も健在だ。先進国で行なわれた調査では、インターネットのユーザーのテレビ視聴時間が、かなり減った。しかし、新聞の購読率と購読時間は減っていないという、一貫した調査結果がある。そのうえ、紙新聞はオンライン版を開設してシナジー效果を生み出す。

ネット世代の若者の投票率が、インターネットによって影響を受けるかどうかが注目される。97年の選挙で、20代は有権者構成比が27.5%で、68.2%の投票率、一方、50代以上の世代は有権者構成比が26.5%で、89.9%の投票率だった。2つの年齢層の有権者数はほとんど同じだが、投票率で20ポイント以上の差が出た。ネット世代間で行なわれた大統領選関連の討論も、対話や説得よりは、とく名に隠れて自分の意見を一方的に主張するケースが多い。

バブルがひどかったドット・コム旋風のように、インターネット媒体に対しても、多少誇張した評価がなくもないが、新しい媒体に機敏に対処できない候補者は、1960年の米国のニクソンのように失敗する可能性がある。サイバー空間では、食事や酒で接待する運動員を抱えなくてもいい。「猟奇李会昌(イ・フェチャン)」または「猟奇盧武鉉(ノ・ムヒョン)」を作って、サイバー空間に流す費用はゼロに近い。

民主党の予備選挙で、盧武鉉候補の勝利は、オンライン空間の支援に得るところが大きいという分析がある。盧武鉉候補の「ノーハウ」サイト(knowhow.or.kr)に掲載された文や動映像を盧候補の支援者らがせっせとポータルサイトの同好会やカフェに流している。義理の父の左翼経歴を問題視した李仁済(イ・インジェ)候補の攻撃をラブストーリーに変換した「妻を捨てるのか」というコピーも、ノーハウ掲示板からアイディアを得たという。

ハンナラ党の李会昌候補のホームページ(leehc.com)は「私の若き友人たちへ」というコラムなど、若年層を狙った企画が視線を引く。討論ルームに入ると、李会昌候補を非難するひどい文章もそのままにして、その下に返事をつけるところがにくい。

インターネットを利用して政治に関する情報を交換するネット世代が、投票という政治的行動に実際にどれほど参加するかによって、大統領選挙の結果が変わる可能性がある。そのような意味で、今回の大統領選挙は、インターネット政治学(Net-politics)が、オフラインの政治行為に及ぼす影響を分析する先駆的事例になるだろう。

黃鎬澤(ファン・ホテク)論説委員