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[オピニオン]ヨーロッパ学界「北朝鮮崩壊」を展望

[オピニオン]ヨーロッパ学界「北朝鮮崩壊」を展望

Posted February. 17, 2002 11:38,   

予想以上にヨーロッパの主流学界は、大西洋連帯に充実していた。私がインタビューしたスイス、スウェーデン、ドイツの著名な学者たちは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をイラン、イラクとともに「悪の枢軸」と見なした米国のブッシュ政権の北朝鮮観を、そのまま共有している。国民の体形が変るほどの厳しい食糧難と経済難に苦しんでいるという事実は、体制が完全に失敗したことを意味する一方、このような体制を放置することは、人権の次元からも黙過できないという見方である。

彼らは、中国の将来についても悲観的である。公企業と金融部門における知られざる不良規模が深刻である上、世界貿易機関(WTO)加盟による対外的な競争への圧力に耐え難くなっていくものとみている。毎年およそ1万件ずつ発生している地方の騒乱を防ぐために、中国政府は予算の相当部分を立後れた地域に投入しなければならないが、これによって、政権を維持するためにもこれまで無理して持ちこたえていた公企業と金融部門は、厳しい構造調整と大量失業を避けられなくなるであろうと指摘している。

このような展望を北朝鮮に置き換えると、急激な崩壊シナリオは、さらなる説得力を帯びてくる。旧ソ連と東ヨーロッパの共産諸国が崩壊して以来、この10年あまりの間、国際社会の人道的救援物資と中国の戦略的支援に頼って、崖っぷちに追い詰められながらも何とか踏み止まっていた北朝鮮としては、二つの支えをともに失うのと同じことになるからだ。

さらに何人かの学者は、窮地に追込まれたゴルバチョフが東ドイツを西ドイツに売り払ったのと同じように、中国が北朝鮮から手を引くという状況も排除できないとしながら、今となっては米国、日本、韓国の同盟軸に中国までを巻き込んで、非常事態に備えた図上計画に取り組むべきときであると警告している。

しかし財界人たちは、北朝鮮での市場の先占めに向けて比較的忙しく走り回っていた。その一例として、スウェーデンではABB、ボルボ、エリックセンなど有数の企業が参加している財界の国際協議会が、エネルギー、テレコム、物流など5つの分野に対する対北朝鮮支援事業を具体化させている。さらにこの協議会は、スウェーデンのシカゴボイスとも言えるストックホルム経済大学を中心にして、金日成(キム・イルソン)大学の経済学教授を対象に、市場経済に関する教育プログラムを組立てる準備に取り掛かっている。

ドイツも例外ではない。旧東ドイツから北朝鮮ファイルを引き継いだドイツは、北朝鮮との経済協力分野における先頭の座を狙っているという印象だ。米国との外交関係に影響されることのないバイエルン州政府は、北朝鮮から50人あまりの情報技術(IT)関連留学生を受け入れることで合意しており、ハンブルクの財界による東アジアクラブは、ジーメンスとフォルクスワーゲンなどドイツの大手17社による共同代表事務所を平嬢(ピョンヤン)に設けた。

彼らは、かつての韓国同様、北朝鮮の権威主義的政権が国民個人個人のイニシアチブを経済成長にうまく結び付けることができれば、もう一つの経済の奇跡を実現することもできるとして、期待を寄せている。

一方では、北朝鮮を悪の枢軸と規定して封鎖政策を支持しており、他方では北朝鮮の指導層と経済協力の糸口を見出そうと腐心している欧州諸国の様子は、一見、矛盾と偏見に満ちた機会主義の極みのように見える。彼らの様子からは、北朝鮮の急激な崩壊がもたらすであろう、朝鮮半島全体の経済、社会的な破たんに対する懸念は、めったに見られない。

12年前、強大な経済力を誇る西ドイツが、量的優勢を前面に押し出して東ドイツを吸収したものの、東ドイツの経済は依然として厳しい状況にある。人口の割合では、東ドイツがドイツ全体の17%を占めているが、失業者の3分の1は東ドイツが担っており、製造業の生産と輸出実績はそれぞれドイツ全体の8%と6%に過ぎない。「一つの民族二つの体制」を「一つの民族一つの体制」に変えることを目指していた統一のビジョンは、結局「二つの民族一つの体制」という結末になってしまった。

旧東ドイツにおける最後の経済相を歴任し、現ベルリン経済大学教授のクリスタ・ルフト女史は、南北朝鮮の統一についてアドバイスを請う私に、次のように話してくれた。

「政治的な論理で統一問題を取り扱ってはならない。東西ドイツに比べ、その格差がさらに大きく、必要な資本の投入など初期の条件において非常に不利な立場にある南北朝鮮の場合、政治や軍事の論理による統一を警戒しなければならない。できることなら、南北朝鮮がそれぞれの体制を維持しながら北朝鮮の回復を図ることが望ましい。これが、南北朝鮮国民の被害を最少化する方策だ。南北朝鮮は、統一ドイツの失敗を繰り返してはならない」

李賛根(イ・チャングン)仁川大学教授(経済学)、ジュネーブの開発問題研究所訪問教授