うそ探知器は、人間の血圧、呼吸数、汗、身体の変化などを測定して、うそをついているかどうかを突き止める。最近米国のある病院が、うそ探知機よりも使いやすい熱感知カメラを考案した。うそをついた人が、このカメラに顔を当てれば、目の周りが赤くなる現象が現れるという。まだ実用の段階には入っていないが、空港のような所でテロリストの摘発に役に立ちそうだ。
性能のいいうそ探知機があれば、韓国の「ゲート」捜査にも、相当役立つのではないか、といった馬鹿げたことを考えてみた。金大中(キム・デジュン)大統領の夫人の甥にあたり「李容湖(イ・ヨンホ)ゲート」の仲介の役割をした李亨澤(イ・ヒョンテク)氏は、国会で「空を仰ぎ一点の恥辱もない」と述べ、身の潔白を主張した。考えただけでも、憤りをおぼえるが、わきまえもなく権力内部に出入りした人間の単なるうそ程度に考えても、権力の中核的人物らが、昨今のように頻繁にうそをついたことが、今まであっただろうか。
国会議員、長官、大統領首席秘書官、国情院次長、検事、新聞社社長・・・。韓国社会に、これほど華やかで堂々たる職業をもつ人は、他にはいない。そのような人々が、なぜか次々に「ゲート」に足を突っ込み、今ではうそを並べ立てて、危機を切り抜けようとしている。「そんな人は知らない」で始まり「知っているが、会ったことはない」「会ったことはあるが、口利きを依頼した覚えはない」という具合だ。そうして彼らは一様に、無罪を証明するために、法的に対応をすると、大口をたたく。数時間後にはばれてしまううそを平然とつきながら、正義を装おう彼らの変装術には驚くばかりだ。
さらに情けないことは、検察のうそである。うそを突き止め、不正を糾明すべき国家の中枢機関である検察は、芋づる式に明るみになった「ゲート」を覆い隠して、縮小することだけに明け暮れた。大したことでもないように「枝葉」だけを処理して、捜査を打ち切ったのだ。特別検事チームでなかったら、検察が意図的に隠した多くのうそは、うそでないかのように、歴史の中に埋もれてしまうところであった。
絶対権力は腐敗する、という言葉は、すでに古典になったものの、民主主義を標ぼうした権力も、仲間同士集まるうちに腐敗するという事実が立証された。馴れ合いで結びついた縁故主義に、国家権力が利用され、乗せられたのである。
金大統領は、腐敗防止委員会が発足した25日に、委員に任命状を渡しながら、とくに脱税や風俗店の取り締まり、建設現場の公務員の実名制実施を強調したという。そのような大統領の願いが、なぜか不自然に聞こえる。利権の依頼に関与した公職者を捜し出し、国民の望みを聞き入れ、日常の不正や腐敗を取り除くことは、確かに重要なことだ。しかし、それよりも今差し迫っていることは、国家機関が組織的に動員された不正を明らかにすることだ。金大統領は、まさに「泣いてばしょくをきる」」の心情で、決断をくださなければならない。
火の手を遮ることだけに、神経を使う時ではない。逃げ道だけを探していては、より深いどろ沼にはまってしまう。内閣を改造し、公職者の倫理や徳目を強調する必要はある。しかし、それだけで地に落ちた政権のモラルと権威は回復しない。大統領が法に則って処理する、といくら言えども、法どおりに上手くいくと信じる者は、誰一人としていない。患部をえぐり出す「痛みを伴う作業」が必要なのだ。
民心は、小さな不正の芽を見ただけで、その根と結果が感知できるほど、権力内部をお見通しだ。「ゲート」が明るみになった時、大統領府側は、全く関係のないことのように、釈明や弁明を繰り返した。民心は、すでに数百里先を見通しているにもかかわらず、権力は部屋に閉じこもっていたのだ。今も民心は「ゲート」がどこに通じて、どこから始まったのか、見当がついている。すべてを知り尽くしているのだ。それで、噂が一つも間違っていないということばが飛び交うわけだ。
権力が、不正の核心を隠そうと、マジノ線を設けようとしてはいけない。民心は常に、権力が設定した不正のマジノ線を優に越えているという事実を認識すべきだ。李起浩(イ・ギホ)大統領経済首席秘書官をマジノ線と考えたり、内閣改造で局面を転換できると思うことは、大きな錯覚である。国家機関を私的組織のように動かした「ゲート」の本体への疑惑が消えない限り、今の危機からは決して抜け出せないのだ。
他に妙案はない。すべてをありのままに処理し、国民の審判を待つことが、最善の解決策なのである。
南賛淳(ナム・チャンスン)論説委員
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