Go to contents

[社説]金利は下り坂にあるものの

Posted August. 11, 2001 10:27,   

金融通貨委員会が、コール金利を一ヵ月ぶりに再度引下げた。その煽りで、実質金利が史上初めて4%台に進入するという珍風景が繰広げられた。設備投資と民間消費に刺激を与えて景気を回復させるための苦肉の策とはいえ、果して相次ぐ金利の引下げがこの時点においてどれだけの効果を収められるかは疑問である。

理想的に言えば金利は、景気の下落が予想される6ヵ月前頃に先行的に手を打つのが最も効果が大きいと言われているが、残念ながら政府はつい先日まで、次の四半期になれば景気がよくなるはずという幻想に浸っていたあまり、最適の金利引下げ時期を逃がしたような気がする。

通貨当局が金利引下げを発表した日に国内の株式市場が暴落したのは、心理的な効果でさえ上げられなかったことを示す証拠にほかならない。

一方では、低金利基調による副作用を懸念する声が強まっている。

当の金融所得に頼っている年金生活者など非労働人力の所得が減少して消費が萎縮した場合、返って景気低迷を加速化させる可能性もあるというのだ。すでに第3四半期に入って消費が減少し始めたという民間経済研究所の分析は、それゆえ気にかかるものである。

それ以上に心配なことは、金利が下がることで市場から撤退しなければならない限界企業を含め、構造調整が求められる多くの企業の改革への意志が色褪せる可能性があるという点だ。業績の悪い企業が、単に低金利のかげで競争力が強化されるのは、長期的にみて望ましくない。

金利が下り坂にあるにもかかわらず、企業の設備投資が回復の兆しを見せていないこともまた問題である。投資が活気を取戻していない状況で金利だけが下がってしまい、資金が金融機関の中でのみ回転するようになれば、通貨政策が効かなくなる流動性の罠に嵌まる可能性があるからだ。通貨当局は、追加的な金利の引下げを強く示唆しているがこの場合、様々な条件は異なるにしても金利0%の、日本の二の舞を踏まないよう警戒しなければならない。

現在、政府がやるべきことは、低金利のメリットを景気回復につなげる手段を見つけることだ。優先的に考慮しなければならないことは、未来の市場に対する企業の不安を取り除き、政策に対する信頼を与えることだ。企業の規制とも関わりを持つこの部門に対する与野党と政府による政策協議会の結果は、期待に及ばないものだ。堅実な企業については条件が許す範囲内で、より積極的に投資を誘導できるよう、政策を柔軟性を持って執行しなければならない。政策を選択するまでの時間は、あまり残されていない。