アルゼンチンが1200億ドルを超える莫大な外債を返済できず、国家不渡りを宣言するだろう、との懸念が高まっている。アルゼンチンはここ数年間、財政赤字が雪だるま式に増え、外債償還のためにさらに高い利回りの外債を借りる悪循環から脱し切れないでいる。
過渡に多い公企業の生産性が減少し、公共部門の赤字が増加したのが財政赤字の主な原因となっている。この上、3月から意欲的に推進されてきた経済政策が、与小野大の連立政権による政治的な不安定と政治不信によって実質的な効果を収められずにいる。
20世紀の初めに「南米の真珠」と呼ばれた富国アルゼンチンが経済危機を繰り返し、外債過多国に転落した顛末を問いただせば、ペロン主義という人気迎合主義(ポピュリズム)が国を滅ぼしたという結論が出てくる。労組勢力の支援を受けて執権したペロンは、10年間の執権期間(46〜55年)中に無理な賃上げ要求を受け入れた。主要企業および産業を国有化し、外国資本に反対する世論を造成した。アルゼンチンの経済はその後、賃上げによる費用構造の悪化で産業競争力が落ち、財政赤字とインフレーションがさらに厳しいものになっていった。
アルゼンチンが今回の危機を辛うじて脱したとしても、向こう10年間成長鈍化と生活水準の低下、外国人投資の減少など厳しい経済状況を迎えるだろうと見ている。経済を健全なものにしていくためには、国全体がどう運営されなければいけないのか、ということをアルゼンチンは反面教師として示しているのだ。政治安定、合理的な労組、構造調整の苦痛を甘受する政府と国民が団結してこそ経済危機から脱することができるのだ。
韓国が経済危機を経験したとしても純債権国家であり、情報通信技術の発達など先進経済へ跳躍できる潜在力が大きいため、アルゼンチンと同一線上に置いて比較することはできない。しかし、引き続き構造調整を行って企業の競争力と国際認知度を高めなければ、危機が再発しないという保証はない。
IMFは、アルゼンチンなどで発生した経済危機が新興経済国家に波及する可能性が高いと警告している。さらに3年前の経済危機をともに経験した東アジア諸国らは、米国と日本の景気低迷で輸出と生産が急落している。
厳しい状況下でも、弛まない構造調整だけが海外から押し寄せてくる波を防いでくれる防波堤になれる。特に、来年地方自治体の機関長選挙と大統領選挙をひかえて、大衆の人気をねらった政策を警戒しながら、経済に関する限り与野党を超越した共同努力が求められる。






