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[記者の目]「国民が満足に暮らせなくては...」

[記者の目]「国民が満足に暮らせなくては...」

Posted May. 20, 2001 09:01,   

「社会主義では経済を解決できない」。

ベトナム・ホーチミン市にある社会科学研究院教授のヘン博士は先週、ベトナムを訪問した統一部担当記者団に対して、1986年に取り入れた「ドイモイ(刷新)」政策の背景をこのように説明した。

ヘン博士は「もともとは社会主義も、国民を満足に暮らせるようにするためのものだったが、残念ながら経済とは適合しなかった」とし、「社会主義を放棄して個人の権利と創意性を保証してから、ベトナムは初めて経済発展することができた」と強調した。

社会科学院のニア院長は「ベトナムは、資本主義市場経済体制を整えてから年間500万トンのコメを輸出する上位2位のコメ輸出国に急浮上した」と語った。院長は「社会主義経済を運用していた時は、国民の80%が農業に携わる農業国家でありながらもコメを輸入しなければならなかった」として、具体的な実例を挙げたりもした。

実際、ベトナムの市場経済の活力は、この上なく目覚しいものがある。現地の韓国領事館関係者によると、99年に374ドルだった一人当たり国内総生産(GDP)は、昨年は約600ドルに急激に跳ね上がったという。

ベトナム現地を見回りながら、自然と過酷な経済難をなめている朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のことが思い浮かんだ。もちろんベトナムと北朝鮮を単純比較するのは難しいと思う。ベトナムは、北朝鮮とは違って先に統一を成し遂げた後、資本主義市場経済を導入した。天然資源も豊富だ。一方、北朝鮮は市場の開放自体が体制を危うくすると考えている。

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が1月に中国・上海の改革開放現場を直接見て回った。最近、欧州連合(EU)会員国と矢継ぎ早に国交を樹立するなど、西側諸国への接近も動きが早くなった。北朝鮮が用心深く変化を模索しているのは間違いないようだ。そういう意味で、社会主義経済と資本主義経済の両方を経験したベトナムや、中国の経験は北朝鮮にとっても教科書となるに違いない。

ベトナムの投資計画部のビクホ院長は「国民が満足に暮らしてこそ、社会主義だとか資本主義だとかが存在するものだ」と語った。北朝鮮の指導部も胸の奥に深く刻み込むべき言葉ではなかろうか、という気がした。



金影植 spear@donga.com