米国のMD計画と朝鮮半島
ブッシュ米大統領のミサイル防衛(MD)計画発表に世界は緊張の目で注目している。ブッシュ大統領は2日午前、金大中大統領にも電話を入れ、MD計画の推進について説明し韓国側の理解を求めた。
ブッシュ大統領の選挙公約でもあったMD構築問題は、世界の安保構図を根本から変えかねない重要な懸案だ。敵のミサイルが自国の領土に到達する前に陸—海—空上で迎撃するというMD構想は、潜在的な敵国が保有するミサイルなど大量破壊兵器の効用性を決定的に落とすものになるからだ。
米国はMD推進の名分として、冷戦後の少量の核やミサイルなど大量破壊兵器を保有する‘無責任な国家‘に対応するためだと強調している。しかし、ロシア、中国などは米国が21世紀にもなお唯一超強大国として居続けるための手段でしかないと反発してきた。
ブッシュ大統領は今回、既存の米本土ミサイル防衛(NMD)の概念の中に、米国の友邦や同盟国の安保までを組み込み、MDという多少色合いを変えた立場を表明して出たたげに、この問題は私たちの‘懸案‘となった。
MD計画は、特に、ブッシュ行政権が‘競争者‘と規定している中国、そして‘テロ国家‘に指定されている北朝鮮と直接かかわるため、朝鮮半島周辺に大きな影響を与える可能性がある。MDは、世界で最も不安定な地域として挙げられる北東アジアに大規模な軍備競争を引き起こす引き金になり得るほか、米朝関係の正常化に障害となる可能性も大きい。実際、最近、北朝鮮は‘米国はNMDで我々を圧殺しようとしている‘と強く反発している。
このような環境で、韓国政府としては、韓米同盟関係を強固に保ちながら、一方ではロシア、中国、そして北朝鮮とも緊密に協議を重ねていくといった成熟した外交力を養っていくことが当面の課題となる。
米国がMD推進を公式に明かしたとはいえ、実際の配備まではまだ程遠い。米国内でもMDの実効性に関する相当な議論が予想される。また、数千億ドルが投じられる予算問題と、昨年2回の実験失敗でも分かるようにクリアしなければならない技術的な課題も山積みである。
最も、米国はMD推進の前提条件になる弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃問題について、ロシアと交渉しなければならない。まだ時間の余裕がある分、韓国政府は緻密かつ賢明な対応策を練っておくべきだろう。






