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[社説] 減税政策の条件

Posted March. 15, 2001 19:02,   

陳稔(チン・ニョム)副総理兼財政経済部長官が、所得税、法人税、譲渡所得税などの一部直接税の税率を、中・長期的に引き下げるという方針を明らかにした。課税標準の徹底で急増する税負担を減らすためというのが、表面的に打ち出した理由だ。

政府のこのような方針は、基本的に歓迎に値するものだ。まず、世界的な租税の同調化現象を考慮するとき、米国とヨーロッパを中心に推進されている減税政策が、韓国にも影響を与えるため、前もってそれに備えるという次元でも税率の引き下げは望ましいものだ。また、税金の軽減措置がもたらす景気浮揚効果も、たとえその結果がすぐさま表れないという欠点はあるものの、ほかのどんな一時的浮揚策よりも副作用が少ないという点では批判を受けるようなものではない。特に、最近クレジットカードの売り上げが伸びたことで税源が露出しやすくなり、課税標準の徹底で所得規模がガラス張りになり、全体税収が増えている点を考慮すると、公平課税の次元からも減税政策は推進されたほうが良い。政府が、徴収を軽減して使用も減らすという姿勢を見せてくれるなら、それも歓迎に値することだ。

しかし、税率を下げるのは簡単でも、下げたものを上げようとするときの租税抵抗は大きくなるため、再度引き上げるときはかなり困難な過程を経なければならない。もしかしたら、政府は来年と再来年に控えた政治的なイベントを考慮しすぎ、ほとんどが納税者である有権者の歓心を得るために過剰に税率を下げようとすれば、その後遺症は最後まで国民の負担になるだろう。政府が純粋に考慮していることを立証するためにも、時期と税目、そして引き下げ幅の選択には節制された行動が望まれる。政府は税政改革による税収拡大を、減税政策推進の一つの背景として挙げた。しかし、昨年は好景気の影響で、法人税と証券取引税での税収増加が果たされたという点に注意しなければならない。したがって法人税よりも、むしろ税政改革の効果が少なかった勤労所得税の部門に、多くの特典を与える方向で政策を推進するのが望ましい。

何よりも重要なのは、財政を優先的に考慮しなければならないという点だ。財政需給の健全性と財政運用の長期的安定性の維持が、税制改革の前提にならなければならないのは、言うまでもない。急増する政府の負債も考慮されなければならないが、納税基盤が十分に広がらない状態で、減税が財政を脅かすようなことがあってはならない。政府の減税政策が、まだ初歩的な論議の段階にあるが、国民にはすぐに甘言となり、長期的には負担を背負わす方向に推進されないよう、関係者たちの慎重な対処を期待する。