韓国の金大中(キム・デジュン)大統領とロシアのプーチン大統領が27日、首脳会談後に発表した「韓露共同コミュニケ声明」で、「両国が大量破壊武器とその運搬手段の拡散防止及び究極的な撤廃に対する決議を再確認した」との一節が目立つ。
共同声明は「韓露両国は1972年、締結した弾道弾抑撃ミサイル(ABM)制限条約が戦略的な安定の基盤となり、核武器の削減及び不拡散に対する国際的な努力の重要な基盤」であると同意した。
政府関係筋らは共同コミュニケにこのような内容が反映されたのは、ロシア側の希望によるものだと説明したが、解析によっては米国に相当な拒否感を与えかねないことから、今後の推移が注目されている。
ABM制限条約とは、米国とソ連(現在ロシア)の両国が弾道弾抑撃ミサイル基地を各一つずつ保有するように制限し、核の攻撃から相互を滅ぼし得る「恐怖のバランス」戦略を採択する意味である。逆説的に言えば、核戦争を防ぐとの意図もある。これによると、両国は国土を防衛する弾道弾抑撃ミサイル体制を構築できないため、ジョージ・W・ブッシュ米政権が強硬方針を明らかにした米本土ミサイル防衛(NMD)体制は、この条約に違反することになる。
このようなことから、韓国側が共同コミュニケで「ABM条約を保存し強化する」との内容を盛り込んだ背景に関心が集まっている。政府関係筋らは「現在、米国もABM制限条約に同意している状態」だとし、「一種の宣言的な意味であり、別に『裏をかく』といったのもではない」と拡大的な解析を警戒している一方、一部では今回の首脳会談での「ABM合意」は、米国のNMD構成に対する韓国政府の不満を迂回的に表明したものではないかとの見解も出ている。
現政権の初代国防相だった民主党の千容宅(チョン・ヨンテク)議員と趙成台(チョ・ソンテ)国防相は、NMD体制の「海外版」である戦域ミサイル防衛(TMD)体制に加入するのは、韓国の実情に合わないため、この体制は朝鮮半島をはじめ、東北アジア地域に新たな軍事的な緊張をもたらす可能性があると明かしたこともある。
今回会談で朝鮮半島の政勢と韓露経済協力などの議題については、「予想通り」実質的であり、細部にいたる措置などが合意された。特に韓国の立場から見れば、対北朝鮮政策に対するロシア側の確固たる支持を確保した点で肯定的である。
なお、ロシアの極東地域のナホトカ韓国専用工業団地の開発とイルクーツク天然ガス田の共同開発など両国間の経済協力を強化し、朝鮮半島縦断鉄道(TKR)とシベリア横断鉄道(TSR)を繋ぐ事業など、韓国ー北朝鮮ーロシアの「三角経済協力」を摸索できる基盤を設けたことからも意味を見出せる。この日の合意をよって、最近4〜5年間沈滞状態であった両国の経済交流も復旧されるきっかけになれるよう期待する。
尹承模(ユン・スンモ)記者 ysmo@donga.com






