動物園の主と呼ばれる虎をジャングルに放ってみよう。果たして、自力で餌が取れるだろうか。韓国の企業を率いる最高経営者(CEO・Chief Executive Officer)の相当数はこのような‘外見だけの虎’である。
米国に目を向けてみよう。企業は有能なCEOをスカウトするために激しい争奪戦を行なう。有能なCEOを迎え入れれば、その場で会社の株価が高騰したりもする。このようなCEOは大金を貰って移籍する。年俸が数百万ドルに達する彼らは、自分の値打ちを高めるために、経営実績を上げようと全力投球する。経営難に陥った企業は、その打開策として外部からCEOを迎え入れる場合が多い。IBMもそうだった。IBMのCEOであるルー・ガスナーは、製菓会社であるナビスコの前社長だった。コンピュータ会社であるIBMとはあまり合わないように見えた人物だったが、ナビスコをうまく率いた実績を買われ、スカウトされたのだ。カーリー・ピオリナ(女性)がヒューレット・パッカード(HP)のCEOとして迎え入れて間もなく、HPの株価が急騰した。それだけ彼女の経営能力に対する期待が高かったためである。
韓国はどうか。三星(サムスン)・現代(ヒュンデ)・LG・SKなどの大手グループの系列社のCEOは、大体同グループの出身である。外部組織から迎え入れたCEOは滅多にいない。一グループに入社しCEOにまで昇るためには、海千山千のやり手にならなければならない。韓国的な状況でこの地位にまで上がるためには、まずグループのオーナーの気に入ってもらうことが何より大事だ。少なからずのCEOは、いわゆる‘家臣’と言われる人々である。彼らはオーナーの利益のためなら身を棄てる思いで奉仕してきた人々ではないか。胎生的な限界を持つ彼らが、果たして、CEOとして企業の多数の利害関係者ら(stakehold—ers)の利益を万遍なく代弁できるだろうか。
CEOという言葉がよく使われ始めたのは僅か数年前のことである。頭(Chief)という接頭語がついたのは、企業が戦争状況に瀕することを仮定したのである。厳しい生存競争を行なう企業世界でCEOは戦略司令官の役割を担うべきとの意味であろう。最近、‘経営’という言葉の前に‘戦略’をつけて‘戦略経営’と称するのも、それだけ企業競争が戦争によく似ているとの意味だろう。
米国や欧州のCEOは、大体ジャングルで生き残って赫々な功績を立てた‘野生の虎’である。餌を取る能力を備えているので、彼らは他の企業へ移っても自分の実力が発揮できる。しかし、韓国ではグループという動物園で育った‘外見だけの虎’であるCEOが多い。
オーナーの顔色しか伺わない内侍型CEOも少なくない。ある財界の人は「脱税・変法相続などの不法行為だらけのオーナーは、このような内密な実務作業を担当した部下を選抜せざるを得ないのが韓国的な現実だ」と明かした。
もうすぐ、上場会社の株主総会のシーズンになる。グループの境界を越えて抜擢されたCEOに出会いたい。例えば、LGで力量を蓄えた経営者が、三星やSKなどで大金をもらってスカウトされる異変が生じてほしい。オーナーの意に左右されないCEOがガラス張りの経営をして初めて、その企業の価値が上がる。韓国でも真の‘CEO市場’が作られることを期待して止まない。
コ・スンチョル記者 cheer@donga.com






