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[記者の目] 感動的なゴアの退場

Posted January. 09, 2001 12:11,   

昨年11月の大統領選挙で敗れ‘退場’するアル・ゴア米副大統領の「後ろ姿」は感動的だ。6日、ジョージ・W・ブッシュ大統領当選者の当選を最終的に認める上・下両院の合同会議。当然、現職上院議長として会議を主宰したゴア副大統領は、一部民主党の下院議員らがブッシュ当選者の当選に対して異議を唱えると、法的要件を整えていないとして棄却した。そして、新たな大統領と副大統領に神の恵みを祈るという言葉を残し、起立拍手の中で退場した。

◇この日、ゴア副大統領はどんな心情だったろうか。米国歴史上、4番目に直接投票では勝利したにも関わらず、大統領になれなかった‘不幸な’候補者。大統領職をめぐって、異例的に一ヶ月以上の法廷攻防を繰り広げた当事者。当選者に当選祝いの電話をかけては取り消し、再び祝いの電話をかけなければならなく、結局はその当選を認める場に立たなければならなかった敗者。ゴア副大統領は裕福な家庭で生まれ、20年間エリートコースをたどってきた。そのせいか選挙期間中にも、余りにも形にはまった模範生だという評価があった。そのようなゴア副大統領である故に、自ら敗北を認めるのに人一倍難しかったかもしれない。

◇さらに、ゴア副大統領には4年後の大統領選挙が保障されている訳でもない。ブッシュ当選者が再選する可能性はさて置いても、民主党の内部にはすでに他の有力な次期大統領選挙候補者が台頭している。ゴア副大統領に本人を支持する政治勢力を引き続き維持し得るカリスマがあるわけでもないと言う。これまでの前例からしても、一度敗れた大統領候補に再び機会が与えられる例は希だった。ゴア副大統領としては、もしかすると自分の政治生命の最後になるかもしれないと言う危機感を感じてもおかしくない。

◇しかし、退場する彼の「後ろ姿」はそうは見えなかった。彼は昨年12月、敗北を認める演説でも「党派心が愛国心に勝ることはない。ゴールラインに入るまでは、どんなに論争しても、結果が決まれば勝者であれ敗者であれ、結果を受け入れるのが和合の精神」であると強調した。選挙後も、依然として党派心から抜け出られず、すべてにおいて言い争いを続ける韓国の政治家に比べると、ゴア副大統領の‘後ろ姿’はまことにすばらしい。