莫大なお金が支援されているにもかかわらず、企業の資金事情は依然として難しく、設備投資は萎縮されつつある。金融市場の機能が基盤から崩れ落ち、財政、金融などの伝統的なマクロ経済の政策は、目に見える効果を全く上げていない。
でも、これといった政策手段のない実状であるため、長期的な不況の局面に陥りかねないとの懸念が高まりつつある。
13日(月曜日)、金融監督委員会と韓国銀行等によると、個人と銀行の保持している現金、つまり本源通貨は、8月中、前年同期より21.4%増加した。その一年前よりは21兆150億ウォン増えたものである。本源通貨に預金を合わせた総通貨(M2)も前年同期より34.9%(87兆ウォン)も増えている。しかし、市中資金の事情を表す総流動性(M3)は5.3%(52兆ウォン)増えるのに止まった。通常、本源通貨の事情がよくなると、M2よりはM3の方がもっと増えなければならないのだが、反対現状が発生したのだ。
また、企業の資金事情と直結したBBB級の収益率は年11%台に止まっている。金利が下がらない上、リストラへの圧力までが加わり、企業の設備投資の増加率は9月中18.9%に、8月(38.1%)に比べ、半分以下に落ちてしまった。国内建設の受注は18.4%も減少した。
▽金利はなぜ下がらないのか=一言で言うと、企業リストラ作業が不十分だったためである。企業は信用度によってそれに相応な金利を負担して会社債を発行することが原則である。が、優良企業と不良企業間の区分が曖昧になって、全ての企業が不良企業扱いを受けてしまう。市場の属性は不確実性を極めて嫌うためである。したがって、健全な企業さえも会社債を発行せずにいる。‘金融市場の麻痺’とはこのような現象を指す。
企業に回らなかったお金は無危険資産である国債に集まる。13日、国庫債の収益率は年中最低だった7.05%。信用度の高いA級会社債の収益率は年8.26%だった。一般会社債市場の11%とは対照的である。
韓国の経済は最近、一種の“流動性の落とし穴(Liquidity Trap)”に陥ったのである。
誠信(ソンシン)女子大学のカン・ソクフン経済学科教授は「韓国経済は日本と中南米をミックスした長期的な不況の局面に陥る可能性が高い」と警告した。日本は過剰な財政赤字と共に‘ゼロ金利’のため、財政・金融政策が効果を上げず、不況が10年も続いている一方、中南米の場合は2〜3年毎に危機が再発している。
▽対策はないのか=金融監督委員会の鄭健溶(ジョン・コンヨン)副委員長は「現在の経済状況は伝統的なマクロ経済政策だけでは解決不可能である」と診断した。必要なのは断固たるリストラ作業であるが、これは労働界の生存権要求と衝突する。金融界の道徳的な緩み(モラルハザード)も妨げになる。鄭副委員長は「このような問題を乗り越えられる政治的なリーダーシップが必要だ」と強調した。
三星金融経済研究所の鄭鏻榮(ジョン・キヨン)所長は「公的資金の投入を出来る限り早めなければならない」と力説した。公的資金の投入でリストラ作業を早めなければ、貸し出し市場や会社債の市場を回復させる道はないとの見解だ。






