7日に実施された米国の大統領選挙にて温情的な保守主義を理念のスローガンとして掲げた共和党のジョージ・W・ブッシュ候補の当選により、21世紀初の米国は保守的な路線に徹した道を歩むことになった。これは8年間続いたビル・クリントン大統領の民主党政権が単純に共和党政権へと交代したという事実以上に重要な意味を持っている。米国の有権者らがクリントン行政部によって成された繁栄と安定を無視し、変化を選択したことによって米国の対内外政策において、少なからずの変化が避けられないのは間違いないからだ。
米国では政権交代とは関係なく、外交や通商など、対外政策においての大きな枠組みは変わらないのが伝統的な慣例だが、ブッシュ当選者が今までクリントン行政部が行ってきた政策を強く批判し、これを清算すると主張したことを考え合わせると、クリントン行政部の重要政策が修正される可能性が高いと言えるだろう。
ブッシュ当選者の対外政策は米国の力を基盤とする国益追求に要約される。
国際平和や自由貿易、民主主義、人権伸張など、米国が追求する普遍的価値を国際社会に適応させていく過程において米国が唯一のスーパーパワーとして指導力を行使すべき、というのが彼の基本的な見解だ。ワシントンのある外交関係筋は「ブッシュ当選者は国際条約と国際機構を米国の国益と外交政策の目的を達成するための手段として見ている」と語り、「必要に応じては米国の国益を守るために一方主義を強調すると予測される」と見通した。
これは国連などの国際機構との協力を通した国際懸案を解決してきたクリントン政府の立場とは対比される部分だ。
ブッシュ当選者は特に中国やロシア、北朝鮮、イラク、キューバーなど、米国とは友好的でないと見られる国家に対してクリントン政府がとってきた外交路線を宥和的だと批判し、力を基盤とした確固たる対処を強調してきた。これは過去、イラクのクウェート攻襲に対し、思いきって湾岸戦争を起こした彼の父親であるジョージ・ブッシュ前大統領の対外政策と似ている。
このため、ブッシュ行政部は米国の国防力を大幅に増強させると思われる。これまでブッシュ当選者は一貫して、クリントン行政部の軍事費増額拒否などにより、米軍の戦闘能力と意欲が落ちたと主張し、国防予算の増額と北朝鮮などのミサイル攻撃に対する国家ミサイル防御体制(NMD)の構築を公約してきたからだ。
さらに彼はNMD構築のために必要ならば、旧ソビエト連邦と締結した弾道弾ミサイル協定(ABM)から脱退することもあるという立場を固持しており、露との葛藤をもたらす心配もある。
彼は中国に対しても友邦ではなく、戦略的な競争者との見方をしており、中国との貿易正常化など、関係改善を外交的業績と強調しているクリントン行政部とは厳然たる違いを見せている。
韓半島(朝鮮半島)問題においてもブッシュ当選者は対北包容政策に対して懐疑的な見解を示しており、北朝鮮の態度変化に疑問を抱いているため、韓国、日本と対北共助における政策的調律が必要と思われる。
来年の1月、正式に出発するブッシュ行政部が米国中心の一極体制を目標としたこのような保守的路線を歩む場合、中国、ロシアなど、世界秩序の多極体制を目指す国家との外交関係が円満には行かないだろう。
ブッシュ当選者は通商面においては、自由貿易と全世界的な市場開放を指示しているが、貿易自由化を労働、人権、環境問題と関連づけるのには反対している。これと同時に外交的目標を達成するための貿易制裁を指示している。
さらに国内の経済においては大企業に好意的な政策を繰り広げると同時に、幾度か公約したように、かなりの減税政策を行う見通しだ。一角では「(特に)過度の減税は連邦政府の財政赤字をもたらし、現在米国が味わっている史上初の経済的好況に水をさすだろう」という主張もあり、問題化する見通しだ。
ブッシュ当選者は堕胎手術や同性間の結婚など、米国社会における懸案に対しては原則的には反対の立場をとっている。
「ブッシュ当選者はテキサス州知事以外には行政経験はないが、共和党が上下院の多数党まで占めており、行政部との会議を全て握っている上に共和党の人的プールも強力なため、ブッシュ時代の幕開けには特別な問題はないだろう」との見解を専門家らは示している。
韓起興(ハン・ギフン)記者 eligius@donga.com






