オルブライト米国務長官の北朝鮮訪問に対する韓国政府の立場は、期待感と共に懸念が入り交じっている。
期待とは、米朝関係の改善に沿って各種の経済制裁が解消されることから、国際金融機構の北朝鮮に対する借款提供を通じて南北経済協力が弾力的になるとの可能性によるもの。さらに米朝間の連絡事務所の開設など両国間の実質的な進展に沿って南北間においても相応しい措置が可能になるとの見解も見られる。
一方、懸念とは、12日の朝ー米共同声名以降、両国間の関係改善が急流に乗った感がある反面、南北関係における日程は繰り延べられつつある状況に基づく。一部では、北側が体制保障と経済再建のため米朝関係改善にだけ関心を傾けてきた6月の南北首脳会談以前の態度へと後戻りするかも知れない、という懸念が出ている。
万が一、北朝鮮がオルブライト国務長官の訪朝を契機に米朝関係の改善だけに重きを置く場合、平和協定締結など政府の対北朝鮮政策の構想が暗礁に乗り上げることになり兼ねない。18日に開かれた国家安全保障会議の常任委員会でもこうした懸念が取り上げられたという。
政府は南北間で合意された事業を予定通り推進するため、多角的に努力しているが、今のところ北側からの明確な説明はない。19日には離散家族対面事業の履行を促す内容の大韓赤十字社の総裁の名義で書簡を送っているがやはり答えはなかった。
こうした状況により所々では「北朝鮮が韓国と米国を同時に相手する『通米通南』政策であれば大した問題はないが、韓国からは経済支援のみを取り入れて対米関係に重きを置く『経南通米』政策を取るなら問題は深刻」だという声が高まりつつある。
しかし、政府関係筋は「北朝鮮が趙明禄(チョ・ミョンロク)特使を米国に向かわせ朝ー米関係改善を急いだ背景には、11月、米国の大統領選挙にて共和党が執権することになる可能性を考慮した事によるもの」とし、「北朝鮮と米国との関係がある一定水準に回復するまでじっくりと待つべきだ」と話した。
専門家らは、「オルブライト国務長官の訪朝にもかかわらず結局、南北関係と朝ー米関係が同程度のスピードで横並びに発展していくだろう」と見通す。
李鍾ソク(イ・ジョンソク)世宗研究所の研究委員は「北朝鮮は内部人員が足りないため、一旦、オルブライト国務長官とクリントン大統領の訪朝など当面懸案にだけ全力を注いでいる」と述べ、「しかし金正日総書記が離散家族問題の解決を年内に履行すると約束したことから、南北関係は米国との『イベント性行事』が終わり次第以前に戻るだろう」と見通した。






