改革措置は順調に進めば相当な結果を得られる反面、不十分なまま進められた場合には大変な混乱が起こる。そのため改革には、思い切った判断に劣らぬ現実適合性を鑑みる周到な綿密さが要求される。特に百年大計と呼ばれる教育分野の改革は、どの分野より緻密な現実把握と計画準備が必要である。
‘国民の政府’になってから、教育分野でも様々な改革措置が断行された。教員定年短縮措置はその中の代表的なものだ。この措置が果たして期待したほどの成果を得られたのか。最近の国政監査で提出された教育省の資料は、この措置が‘失敗した政策’であったことを示している。
この資料によると、教員定年短縮措置と早期勧奨退職のために、退職した教師が小学校の場合で2万1700名余りに達したが、このうち33.6%に該当する7319名が再び教壇に復帰したということだ。この措置により教師不足の事態になり、教育当局が窮余の策として退職教師を期間制(契約制)教師という形式で再び呼び戻したことにより起こった結果である。
定年短縮は当時の教育界にとって大変な‘改革’であった。政府はこのような衝撃的措置を実施しながらも、教員の需給について1,2年先も見通せなかったという話になる。政府が改革の可視的成果に執着し、強行したせいである。
当時教育当局は、定年短縮に対する教師達の反発を‘反改革’として片付けた。結局学校を去った教師も残った教師も皆、大きく自尊心を傷つけられ、被害は就学子女を持つ多くの国民にも及んで来ている。
また別の教育改革政策は、教員労働組合合法化措置である。これにより発足した全教組は現在、教育省と激しく対立している。全教祖が反発しているのは、教育省が昨年7月、彼らと締結した団体協約の一部を履行していないためである。
葛藤の根本原因は教員労組法にある。この法律によると、教員労組の団体協約は使(雇用者)側に該当する教育省が必ずしも守らなくても良いということになっている。このように最初から葛藤の火種を持っている異常な法律が誕生し得たということは、教育改革で政府の近視眼的考えを示すもう一つの例である。
政府が、学校外教育活動(塾など)を無くすとし、大幅に‘手術’を施した2002年度の大学入試でも、大混乱が起きるだろうと心配の声が高い。原則のない無試験選考による混乱はすでに第一線の高校の賞状乱発と成績上乗せという形で現れている。
教育当局は今からでも教育改革を再点検し、副作用を減らすことのできる法案を模索しなければならない。