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政治IQと厚黒が出会う時

Posted March. 26, 2024 09:10,   

Updated March. 26, 2024 09:10

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4月の総選挙が近づくにつれ、政治が道より技の領域に移ったことを実感する。だから、面の皮が厚かろうが腹黒だろうが、どちらか一方があってこそ政治で成就するという100年前の中国人の歴史研究は依然として意味深い。「厚黒」が勝負を分ける政治は、古代中国ではともかく、21世紀の韓国政治では望ましくない。それでも有権者は、政治IQが厚黒と出会うと、より多くの支持を送るのが現実だ。

ソウル江北(カンプク)の公認騒動後、「共に民主党」全体に流れる沈黙を見てみよう。李在明(イ・ジェミョン)代表の専横を批判していた元老たちも、「非明横死」に遭った親文系(文在寅系)たちも約束したかのように口を閉ざした。親文排斥の時、批判声明まで出した金富謙(キム・ブギョム)元首相は「もうこれ以上言わない」と身を引いた。敵に餌を与えないという本能に近い。集団的IQが働いたのであり、厚黒で言うなら「厚」の発現だ。

「共に民主党」が韓米同盟論者である、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の韓国首席代表を務めた魏聖洛(ウィ・ソンラク)氏と反米を掲げた統進党の後裔3人を同時に比例代表に公認したのは、明らかな価値観の衝突だ。それでも、ワシントンで話が通じる魏氏に2番を与えたのは、素晴らしい戦略だ。邢海明・中国大使の前でのハプニング、反米運動家の公認、中国・台湾の謝謝発言は一つの方向を指している。李代表が米国主導の国際秩序に快く同意しないということだ。そんな彼でさえ、同盟派外交官を重用した。政治IQを認めようが、「黒」の小細工と見ようが、それは有権者次第だ。大庄洞(テジャンドン)、サンバンウルなど数々の事件で明らかになった厚黒の兆候とは異なる政治感覚だ。

親尹系(尹大統領系)の核心である「国民の力」の李哲圭(イ・チョルギュ)公認管理委員はどうだろうか。「韓東勲(ハン・ドンフン)の私薦」という批判は、金富謙氏の沈黙と比較される。比例の後順位を受けて辞退した朱起煥(チュ・ギファン)候補を龍山(ヨンサン)大統領室は3日後に大統領特使に任命した。どちらも選挙を目前に控え、与党核心部が党の看板である韓氏を狙ったことだが、どうして可能なのだろうか。しかも、検察捜査官出身の朱氏は、引継ぎ委員会、光州(クァンジュ)市長候補、総選挙比例候補、大統領特補まで2年の間に4回の公職の機会を与えられた。「また検察、また知り合い」という野党の批判の前に、大統領支持者たちは頭を抱えるほどだ。非常勤で無報酬とはいえ、特補人事を総選挙の後に遅らせなかったのは些細なことではない。李鍾燮(イ・ジョンソプ)駐オーストラリア大使の時のような繊細なプロセス管理ができなかったということだ。「厚」も「黒」も感じられない決定が龍山でしばしば出ている。

最近、曺国(チョ・グク)元長官には、強い「厚」が漂っている。曺氏は、柳在洙(ユ・ジェス)金融委員会金融政策局長の不正を黙認した容疑で2審まで有罪判決を受けた。当時の大統領府の核心から請託を受け、公職監察を黙認させたのは権力型犯罪だ。曺氏は質問を受けると「私は入試の問題はあっても、権力型の不正はない」と答える。あまりに自信満々に話すので、「柳在洙の件も無罪になったのか」と錯覚するほどだ。しかし、如何とするか。祖国革新党に票が集まるのは理由がある。大統領周辺と検察はなぜ生ぬるく捜査されるのかという質問に共感する人が多いということだ。これとは別に、曺氏本人と黄雲夏(ファン・ウンハ)議員のように下級審で有罪判決を受けた候補は、候補を辞退することを勧める。それが理に適い、そうしてこそ、曺氏は「厚」の沼から少しは解放されるだろう。

高い政治IQと厚黒の出会いが良い政治の十分条件ではない。しかし、これがなければ選挙の勝利は容易ではない。2世紀前、フランスの学者は、「すべての国は国民のレベルに合った政府を持つ」と言った。最近の有権者の政治IQは政治家に劣らない。龍山であれ与野党であれ、高まった有権者のレベルにふさわしく政治IQをより高めなければならない。これができなければ勝利も何もない。