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国情院は不満、警察は負担…誰のために捜査権移譲なのか

国情院は不満、警察は負担…誰のために捜査権移譲なのか

Posted January. 02, 2024 08:14,   

Updated January. 02, 2024 08:14

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国家情報院(国情院)の対共捜査権が1日から警察に完全に移った。これで国情院はスパイ事件の捜査ができなくなった。家宅捜索など強制捜査ができない。拘束令状の申請もできない。

対北朝鮮捜査権が移管され、国情院が担当していた全国教職員労働組合・全国農民会総連盟幹部の国家保安法違反事件などは、警察が担うことになった。通常、諜報収集だけで数年かかるのがスパイ捜査だ。情報当局者は、「清州(チョンジュ)スパイ団事件の場合、1998年から内偵資料があった」と話した。利敵団体が北朝鮮工作員の指令を受けて各種安保のために行為したというこのスパイ団事件は、諜報収集から捜査まで20年以上かかったという。当局者は、「このような事件のパズルを解くには、片方の胸には忍耐、もう片方の胸には慎重さを刻まなければならない」とし、「警察が私たちのように粘り強く追及できるだろうか」と話した。

むろん、スパイ捜査は国情院の専有物ではない。当然の権利でもない。国情院より警察がもっとうまくできるなら、警察が担うのが正しい。

警察がもっとうまくできるだろうか。これを測る尺度は、まず能力である。警察は安保捜査人員を昨年724人から今年1127人に増やすという。ここから純粋な対共捜査の人員だけを選び出すと750人程になる。さらにここから主体的な対共捜査が可能な人員だけを選び出すと、142人規模にさらに減るというのが、警察の自己評価だ。元国情院対共捜査要員は、「北朝鮮が対南工作に1ウォンを使うなら、私たちは100ウォンを投資しなければ捕まえられない」と話した。スパイの動きを追ってインターネットカフェにも行き、同じ宿舎に泊まるほど労働集約的な捜査が対共捜査の領域だということだ。対共捜査の核心要員が200人もいないというのは「スパイに遊び場を与えるようなもの」とこの元捜査要員は懸念した。

人材プールも問題だが、経験はもっと問題だ。今年からスパイ捜査を率いる警察幹部の半分以上は、安保捜査の経験が3年未満であることが分かった。警察安保捜査団のトップである安保捜査審議官は、対共捜査の経験が全くない。

警察がうまくやろうという意志すら弱く見えるのも問題だ。尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長は新年のあいさつで、「安保捜査の能力を抜本的に革新する」と明らかにしたが、警察内部では「簡単ではないだろう」という声が上がっている。警察関係者は、「対共捜査を任されることをあまり歓迎しない警察内の声も多い」と話した。

実際、対共捜査を専門とする安保警察が警察組織で人気がないのは、昨日今日のことではない。長くても10年以上かかるスパイ捜査の性格上、実績を積むのが困難で昇進も難しいため、安保警察が忌避されるのはある意味当然だ。先月の警察幹部の警務官昇進対象者リストにも安保警察はなかった。

スパイ捜査プロセスに穴が開けば、国家安保が揺らぐ。警察がやるなら、確実な計画と意志を持ってしっかりしなければならない。国情院も後ろで心配するだけでなく、法的な範囲内で最大限警察に協力しなければならない。警察と国情院のいずれもその自信がないなら、別の安保捜査庁を設けるか、元に戻すべきだ。