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「異常動機犯罪」、不平等社会のせいにせず原因を解明して予防しなければ

「異常動機犯罪」、不平等社会のせいにせず原因を解明して予防しなければ

Posted August. 18, 2023 08:51,   

Updated August. 18, 2023 08:52


政府が17日、首相を中心に閣議を開き、最近相次いで発生した「異常動機犯罪」に関する政府合同対策を発表した。凶悪犯罪に厳正に対応するため、仮釈放なしの終身刑の導入を推進し、警察が積極的に物理力を行使するよう関連規定を整備するほか、精神疾患者が適切に治療を受けることができるようインフラを拡充し、重度の精神疾患者は裁判官が入院するかどうか判断する司法入院制度の導入も検討するという内容だ。

政府は同日、「あらゆる手段を動員した政府挙げての総力対応」を誓ったが、発表した対策は既存の対策の二番煎じレベルだ。警察は最近、「異常動機犯罪」と呼び始めたが、政府合同対策では「通り魔犯罪」というメディア用語をそのまま使っている。ソウル新林(シンリム)駅と盆唐(ブンダン)書峴(ソヒョン)駅の事件以降、オンライン上では模倣犯罪を予告する書き込みまで乱立し、社会全体が不安感で萎縮している状態だ。政府各省庁間の用語統一もできていないとは、事態に対する認識が甘いのではないか。

政府が「法定最高刑の処罰」や「可視的威力パトロール」といった空虚な対策しか打ち出せないのは、用語の混乱からも分かるように、犯罪に対する正確な理解が不足しているからだ。メディアに「通り魔犯罪」という言葉が初めて登場したのは2000年だが、深層研究はおろか犯罪を定義して公式統計を集計し始めたのもつい最近のことだ。

今からでも関連犯罪の記録を基に加害者の人口学的、社会心理的、発達史的特性と他の犯罪との差別化された特徴を分析しなければならない。異常動機犯罪者の中には、精神疾患者や引きこもりがいるが、多くの精神疾患者や引きこもりは犯罪を犯さない。どのような社会心理的環境で犯罪が起こるのかを探ることで、犯罪の原因と動機を見つけ出し、これを基に刑事司法、保健医療、地域社会の段階で充実した予防策が生まれるだろう。

2012年の汝矣島(ヨウィド)の切りつけ事件、16年のソウル江南(カンナム)駅女性殺人事件など、同様の犯罪が発生するたびに、政府は通り魔犯罪だとして過去の対策を繰り返したが、都心の地下鉄駅や百貨店のような生活空間では悪夢のような切りつけ騒ぎが繰り返されてきた。「通り魔」という命名自体が、積極的な対策の不在のアリバイになっているのではないか。どこにも安全な場所はないという恐怖感を助長する凶悪犯罪に対して、いつまで「通り魔」、「異常動機」という曖昧な定義の後ろに隠れて不平等な社会のせいにしているわけにはいかない。