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新型コロナ治療薬品薄の中国、「ファイザーは高過ぎる」と医薬保険の適用を放棄

新型コロナ治療薬品薄の中国、「ファイザーは高過ぎる」と医薬保険の適用を放棄

Posted January. 10, 2023 08:45,   

Updated January. 10, 2023 08:45

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中国が、米国製薬会社ファイザーの新型コロナの経口治療薬「パクスロビド」を、国家保険適用医薬品に含ませようとしたが取り消した。ファイザーが過度に高い価格を提示したという理由からだ。高危険群患者の入院率を下げられる効果が立証されたパクスロビドは、これまで自国産ワクチンの優秀性を盲目的に主張し、欧米のワクチンを敬遠してきた中国が公式承認した数少ない欧米の治療薬だ。

これをめぐり、「結局、お金のために国民の健康を放棄するのではないか」「この3年間、当局が使った遺伝子増幅(PCR)検査費用のほうがより大きいだろう」という不満の声が高まっている。中国各地では、一日の新規感染者と死者が急増している。

●パクスロビドの価格高騰、20倍に

9日、米ブルームバーグと台湾の自由時報などによると、中国は「パクスロビド」を国家保険適用医薬品リストに含めるために、ファイザーと5日から4日間交渉を行ったが失敗した。その代わり、自国産抗ウイルス治療薬「阿玆夫」と「淸肺排毒」などを保険適用対象に含ませた。このリストに含まれれば、通常、薬の価格が50%以上安くなり消費者のアクセス性が高くなる。

中国の一部の地方政府は、3月31日まで一時的にパクスロビドに保険を適用している。しかし、輸入量が少なすぎて購入が難しく、闇で取引される価格が20倍以上高騰している。新型コロナの発生後、ずっと欧米の医薬品を拒否していた中国は、昨年3月になってパクスロビドを輸入した。昨年12月に当局がゼロコロナ政策を廃止後、新規感染者が急増し、パクスロビドをめぐる需要も急増し、品切れの大乱が起きている。

現在、中国内でのパクスロビドの価格は、1箱(30粒)当たり2300元(約42万4000ウォン)。しかし、インターネットや闇市などでは、5万人民元(約923万ウォン)を払わなければ買えない。効果と安全性が検証されていないインド産パクスロビドのジェネリック(複製薬)さえ手に入らず、気をもんでいる人が少なくない。インフルエンザ薬が新型コロナの治療薬に化けるなど、偽薬も無分別に流通している。中国の医療システムの不平等と後進性を、パクスロビドが示しているという指摘が出ている。

●感染者の急増が治療薬の品薄を煽る

新型コロナの新規感染者の急増が、治療薬の品薄現象に拍車をかける悪循環も現れている。9日、香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は、「ある中国の漢方医は、感染した娘の治療薬を手に入れることができず、娘に直接鍼を打ったが、4時間後に死亡した」と報じた。ソーシャルメディアなどには、この話をはじめ、いたるところの残念な死者のニュースが広がり続けている。

AFP通信などは、人口9940万人の河南省保健当局が同日の記者会見で、6日基準の累積感染率は89%だと明らかにしたと伝えた。北京と上海の感染比率も、それぞれ80%と70%を超えた可能性がすでに提起されている状態だ。SCMPもまた、最近中国全体人口の60%である約8億人がすでに感染したという試算を報じた。

これに伴い、20億人が移動すると予想される22日「春節(中国の旧正月)前後の防疫対処が、中国の新型コロナの状況悪化を分けるものと見られる。すでに住民の不満が尋常ではないだけに、当局は春節前にはファイザーといかなる形であれ交渉を終えるだろうという観測も出ている。中国は、パクスロビドの直接購入のほかにも、パクスロビドのジェネリック(複製薬)を製造できる権利を得るための別途交渉もファイザーと進めている。


金祺容 kky@donga.com