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「ビッグ5大使」、新冷戦の荒波を乗り越える多層的外交を

「ビッグ5大使」、新冷戦の荒波を乗り越える多層的外交を

Posted June. 08, 2022 08:36,   

Updated June. 08, 2022 08:36

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尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は7日、駐日本大使に元国立外交院長の尹徳敏(ユン・ドクミン)氏、駐中大使にソウル大外交学科教授の鄭在浩(チョン・ジェホ)氏、駐ロシア大使に元大統領外交秘書官の張虎鎮(チャン・ホジン)氏、駐国連大使に駐英大使を務めた黄浚局(ファン・ジュングク)氏を任命した。これで、先に駐米大使に指名された保守系与党「国民の力」の趙太庸(チョ・テヨン)国会議員を含め新政府の米・日・中・ロ4強と国連の「ビッグ5大使」の人選を終えた。

新政府の初代ビッグ5大使は専門家と外交官出身という点で、非外交官で政治家出身が主流をなした文在寅(ムン・ジェイン)政府とは差別化される。特別な存在感もなくポストだけ守ったり、とんでもない言動で非難されたりした前政権の大使とは違って、各々の識見と経験に基づいて外交的能力を発揮することが期待される。今は米中対立とサプライチェーン(供給網)のかく乱といった対外変数を安定的に管理する専門性が必要な時でもある。

ただし、新大使らも、尹大統領の大統領選陣営や高校の同窓といった縁があるという点で、報恩性人事から大きく抜け出せなかった。外交官出身らは、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンヘ)政府で重用され、文前政権で押し出された米国通だ。新政府の国家安保室から外交部、国防部、国家情報院まで米国通が戻ってきたが、今回の大使人選で一層際立った。米国で中国史と米中関係を学んだ鄭在浩氏も政府の「顔色伺い外交」を批判してきた学者だ。

尹政権は、民主主義や人権といった普遍価値に基づいた「グローバル中枢国家」の実現を掲げて韓米同盟を最優先に置く対外戦略基調を明らかにしてきた。欧米諸国と中ロの対決局面が激しくなり、北朝鮮が核・ミサイル挑発に明け暮れる状況で、韓国外交の座標移動は自然であり、避けられない面がなくはない。しかし、米国一辺倒と言われるほど過度に一方に傾く外交は、もう一方の反発と摩擦を生みかねないことを警戒しなければならない。

新政府発足以降、韓米同盟の強化と韓日関係修復のための外交努力は目につくが、中国、ロシアとの関係は事実上、空欄のままだ。ただでさえ尖鋭になる新冷戦の外交戦線で、中ロとの関係でも国益のための多層的実用外交の後押しが必要だ。特に対立が激しくなる時に、駐在国を説得して緩衝の役割もする第一線の外交は大使の役割だ。野次馬の振舞いや透明人間扱いされる大使はいてはならない。