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大統領選D-67、選挙が民生・経済の足を引っ張ってはならない

大統領選D-67、選挙が民生・経済の足を引っ張ってはならない

Posted January. 01, 2022 08:45,   

Updated January. 01, 2022 08:45

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大統領選挙の年だ。政権交代か続投かの2つの大きな波が激しくぶつかっている。その上に乗った候補たちは、ライバル候補に対する攻撃的な言葉を吐き出し、支持層結集に総力を挙げ始めた。大統領選の度に全国が二分されたが、今回の大統領選はひときわ懸念される。

 

米中の覇権競争や3年目に入った新型コロナのパンデミック長期化など国家が直面した危機の水準は過去とは比較にならない。にもかかわらず、国家的難題を解決する洞察力とビジョンの提示、政策競争は後回しで、大統領選に勝つためのポピュリズムが大手を振っている。

政府与党は、3月9日の大統領選まで残る約2ヵ月間、あらゆる政策手段を総動員して集中する態勢だ。自営業者や小企業55ヵ所に1月末に損失補償金500万ウォンを給付することを決めたことが端的な例だ。先に補償し、大統領選後に損失の有無を確定して精算するという以前には見られなかった方式だ。ソーシャルディスタンシングの延長にともなう自営業者支援を非難することはできないが、与党「共に民主党」大統領選候補、李在明(イ・ジェミョン)氏の主張を政府が受け入れたもので、大統領選前の現金ばらまき論議を避けることはできない。与党は2月、追加更正予算案の編成を推進する方針も明らかにした。来年の本予算が国会を通過して1ヵ月もたたずに追加更正予算を取り上げることは正常とは言えない。

 

直接的な政策手段がない野党も、ばらまき公約を乱発してきた。自営業者支援に50兆、100兆ウォンを投じるという。「大統領選前にしよう」、「大統領選後にする」など内部では時期も交錯する。どのように財源を調達するのかも明確でない。現実性が担保されていない掛け金を膨らませることに野党も加勢し、国家経済の手綱が緩む恐れがある。

 

いま韓国経済は、経済回復が遅れている中、物価は高い「スローフレーション」の兆候を見せている。統計庁によると、今年の消費者物価上昇率は2.5%で10年ぶりに最も高かった。物価は高いが、新年の経済は民間消費と設備投資の不振で成長率が政府目標値(3.1%)を下回ると懸念されている。物価水準を下げ、成長率を高めるには、市中の流動性を減らすものの民間の活力を育てる繊細な政策の組み合わせが必要だ。経済覇権をめぐって対立する米国と中国もインフレーション打開という宿題を抱えている。韓国は国内外的にきわどい綱渡りをしなければならない。このような状況で財政支出を無分別に増やしては、経済危機を招来する恐れがある。

与野党は現在、歳出を増やすことが民生のためだと繕っているが、国家債務「1000兆時代」を迎える韓国経済の実状は度外視する。自営業者支援は、大統領選の日程に関係なく精巧な計画の下で実施されなければならない。大統領選が経済の足を引っ張る結果につながらないだろうか、心配になる新年早々だ。