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[社説]MERS拡散阻止の失敗、香港インフルエンザでは繰り返すな

[社説]MERS拡散阻止の失敗、香港インフルエンザでは繰り返すな

Posted July. 09, 2015 07:19,   

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「第2のMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)事態は必ず来る」と保健専門家たちが口をそろえて警告する。その時期は意外に早いかもしれない。香港で夏のインフルエンザが猛威を振るい、韓国に流入する可能性が提起されている。A型(H3N2)インフルエンザは、昨年の冬に国内で流行したインフルエンザだ。韓国は冬が過ぎて終息したが、香港ではこれまでに563人の死者を出し、拡散を続けている。発病率や死亡率で見るとMERSに劣らず状況は深刻だ。

世界保健機関(WHO)で毎年その年に流行するインフルエンザのタイプを予測してワクチンを作るが、昨年冬のワクチンにはこのタイプが入っていなかった。WHOが流行するインフルエンザを誤って予測したのだ。韓国人は毎週7万人が香港を訪れるほど交流が盛んで、このインフルエンザが韓国内に再上陸する可能性がある。今は、昨年冬に接種したワクチンの効力が落ちる時期なので、香港インフルエンザが流入すれば人的・物的被害は大きくなるだろう。徹底した対策が必要だ。

09年まで200人ほどだった海外流入感染病の患者数はますます増え、13年494人、14年388人を記録した。気候変動や生態系異常でウイルス変移が容易になり、航空旅行が増えたことで新種の伝染病がつねに国境を行き来できるようになった。この40年間で発生した主な新種ウイルスは20種を超える。03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)と09年の新型インフルエンザがその端緒だったと見ることができる。

パンデミック(大流行)は、核兵器とともに人類を脅かす2大脅威だ。韓国はMERS拡散事態を通じて、韓国の感染病防疫システムがどれほど不十分で欠点が多いかを目の当たりにした。サウジアラビアを訪問した旅行者がMERSに感染したことは不可抗力だとしても、これまでに186人の感染者を出したことは、お粗末な初期対応と公衆保険システムが原因だ。

8日に開かれた国会MERS対策特別委員会で、文亨杓(ムン・ヒョンピョ)保健福祉部長官は情報不足と普段の防疫網の不備によりMERSの感染力を過小評価したことを認めた。政府が海外で発生する新種の感染病に関する情報を多角的に収集し、医療スタッフや旅行客への事前教育を強化していたなら、事態がこれほどまでにはならなかっただろう。その意味で、韓国のMERS感染事態は人災の要素がある。事態が収拾され次第、責任を負うべき者は責任を負わなければならないが、今はMERSを終息させ、再びこのような事態が起こらないよう防備を固めることが急務だ。

政府は、香港から帰国する旅行客が発熱やせきの症状がないか空港で徹底してチェックしなければならない。旅行客も各自衛生を徹底し、インフルエンザが国内で拡散しないよう協力しなければならない。しかし、香港にインフルエンザが流行しても、過度に恐れる必要はないだろう。香港インフルエンザは、MERS後の政府の防疫システムが抜本的に変わったのかどうかを示す試験台だ。