Go to contents

[社説]世界3位の400兆ウォンの国民年金、政府のポケットマネーではない

[社説]世界3位の400兆ウォンの国民年金、政府のポケットマネーではない

Posted February. 28, 2013 03:16,   

国民年金基金の資産が400兆ウォンを超えている。昨年、韓国の国内総生産(GDP)の3分の1のレベルだ。10年7月に300兆ウォンに達してから、わずか2年7ヶ月しか経っていない。10年後は1000兆ウォンを超える見通しだ。発足から25年間で日本の公的年金(GPIP)やノルウェーのグローバルファンド年金(GPFG)に次ぎ、世界3位の規模の年金基金になった。驚くべき躍進振りである。

国民年金の昨年の運用収益率は7%と、世界主要年金基金の中では最高水準だ。この25年間、年平均収益率も6.69%に上る。債券の割合を60%台へと下げ、株や不動産投資に積極的に乗り出したのが功を奏した。

国民年金は、老後のための最後の安全弁だ。少子高齢化により、年金システムが崩壊しないよう、「より多く払って少なめに受け取る」の方向に改革する必要がある。三星(サムスン)電子の筆頭株主が、まもなく三星生命から、国民年金に取って代わられる。資本金の中で年金の持分率が5%以上の上場会社だけでも、計220社あまりに上る。年金の収益率を引き上げるためにも、企業価値の最大化や支配構造の改善に、年金は自分の役割を果たさなければならない。

しかし、国民年金がこのような役割を担うためには、運用の自主性や専門性に問題が多い。実質的な運用は、国民年金公団・基金運用本部が手がけているが、最高意思決定機関は、国民年金基金運用委員会だ。委員長は、保健福祉部長官であり、政府次官が4人だ。財界や市民団体、使用者、労働者、地域加入者の代表など、計20人で構成され、専門性が足りず、いつでも政治的論理に巻き込まれかねない構造となっている。政府や政界から完全に独立するよう、年金内部の支配構造から改革しなければならない。

ただでさえ政界はともすると、基金に手をつけようとしている。朴槿惠(パク・グンへ)大統領は、大統領選挙の時、「国民年金などの独立性を強化する」と公約したが、当選後は、国民年金から基礎年金の財源を当てようとして、大きな反発にぶつかった。政府の各省庁も、国民年金を収益性の低い公共投資融資事業や証券市場の刺激に動員しようとするケースが多かった。基金運用の独立性や支配構造の政治的中立性を確実に保障しなければならない理由がそこにある。

韓国政府は08年、「基金運用本部を分離して基金運用公社にし、民間の専門家7人で基金運用委を立ち上げ、基金の独立性を韓国銀行や金融通貨委員会並みに引き上げる」という国民年金法改正案を提出したが、第18代国会が期限切れとなり、廃棄となった。400兆ウォンもある基金を、非専門家らに預けるわけにはいかない。政府と与野党が速やかに、国民年金制度の改革に乗り出さなければならない。

国民の半分は、国民年金が老後対策の全てだ。国民年金を米カリフォルニア公務員年金やオランダ公務員年金のように、収益性と安定性共に優れた年金へと育成し、国民が信頼できる老後対策にしなければならない。