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[社説]過度な福祉、優しい納税者は税金の苦痛、国は借金の山

[社説]過度な福祉、優しい納税者は税金の苦痛、国は借金の山

Posted January. 12, 2011 02:59,   

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1月1日付の米紙ニューヨークタイムズには、就職できず両親の脛をかじっているスペイン人人文学博士(33)や、れっきとした職場の代わりに、人々が障害給付を受けることができるよう、虚偽の書類を作るのを業としているイタリア人法学修士(29)の物語が紹介された。既成世代が過度に福祉恩恵を享受したために、若者は雇用も、未来もない「失われた世代」になった断面だ。最近欧州を襲っている大学生によるデモは、「授業料引き上げ反対」を掲げているが、その本質は、「若者の世代の分まで、先に食べつくしてしまった先輩世代への憤り」と、イタリアのジュリアーノ・アマート元首相は指摘した。

民主党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表は10日、「今、庶民や中間層から希望を奪う韓国病が、我が社会を押さえつけている」と言い、「公正な社会システムや福祉、平和を通じて直す」と語った。孫代表は特に、無償給食や無償医療、無償保育を「時代の要求であり、共同体回復の中核要素だ」と主張した。民主党の試算どおりなら、無償給食に年間2兆ウォン、無償医療に年間8兆1000億ウォンが必要になる。さらに、無償保育や大学生登録金の半額引き下げ、無償住宅まで実施することになれば、予算は天文学的に膨らむ。

民主党は、富裕層への減税を撤回し、主要4河川を巡る予算を削減すれば、追加負担はないと主張しているが、とんでもない話だ。主要4河川をこのまま放置すれば、毎年、数兆ウォンずつの水害関連予算が、さらにかかる可能性が高い。上辺だけが「富裕層減税の撤回」であり、結局は、汗水たらして働く多数の国民に、さらに税金を加えずに福祉財源を調達する道などない。あるなら、国の借金をさらに増やすことになるが、そうでなくても、国の借金は危険な水位に達している。国の財政がずさんになれば、小さな経済衝撃にも、国民全体が苦しくなる。雇用が消え、所得は減り、投資が萎縮され、国民の将来は暗澹なものになる。最も大きな苦痛は富裕層ではなく、低所得の庶民層から経験することになる。過度な福祉のため、税金を増やし続けることになれば、金持ちは国内には投資も、消費もせず、金を海外に持ち出す可能性が高まる。その結果、金がより少なく出回る国は、社会全体が萎びざるを得ない。

民主党は6日、無償医療を党政策として発表し、「金融や賃貸所得に対し、健康保険料を課し、国庫補助を増やせば可能だ」と主張した。しかし、大韓病院協会は、現在の月平均1人当たりの保険料(3万700ウォン)より3倍(9万5300ウォン)は、さらに収めなければならないと試算した。このような急速な負担増加を、全ての保険料納付者らが容易に耐えるはずがない。企業の追加負担金(6兆2000億ウォン)や国庫支援金(3兆2000億ウォン)の追加投入も必要だ。国庫は、空から降りるものではなく、そのまま国民の税金となる。保険料の追加負担が難しい企業は、雇用を避けることになるだろう。

無償医療ではなく、税金爆弾であり、雇用剥奪だ。このように、福祉過剰や企業負担の急増が悪循環となれば、外国企業も背を向けることになるだろう。ばら撒き福祉のため、国民の税金は増え、国の財政は日増しに悪化し、外国資本すら離れることになれば、経済成長も止まらざるを得ない。そうすれば、この国の5000万の国民は、食べていけなくなる。既成世代の息子や娘、そして孫世代の暮らしはさらに不幸になりやすい。このような災いが目に見えるのに、今、国民を騙し、福祉ポピュリズム競争によって、人気を獲得しようとする政治家は、大罪を犯していると、我々は考えている。

韓国の社会福祉支出(11.83%)は、スウェーデンやデンマークのような北欧型の49%、米国や日本の80%レベルであるのは事実だ。しかし、韓国の経済水準も同様に、これらの国々には達していない。税金負担も、先進諸国より少ない。にもかかわらず、ギリシャやポルトガルのように、経済水準に比べ福祉恩恵だけ増やし、財政危機に陥る過ちを犯すわけにはいかない。左派性向の強い欧州の若者らの間でも、福祉や労働保護を強調した左派政党や労組のせいで、結局自分らが損するという、否定的な認識が増えているのが現状だ。

最近、韓国保健社会研究院は、「韓国人は普遍的福祉を目指し、所得格差の解消に国が積極的に介入すべきだと考えている」としながらも、「福祉拡大に向け、税金を増やすことには否定的だ」と発表した。福祉はただではなく、税金だということに、有権者は目を凝らす必要がある。左派陣営は12年の総選挙や大統領選挙の勝利に向け、「無償」だけを掲げており、税金について全く触れずにいるが、結局、増税に向かわざるを得ない。中間層以上にまで恩恵を広げたため、いざ、きめ細かなセイフティネットワークの必要な低所得層は、必要な支援を受けられない可能性が高い。

韓国経済研究院は、「今のように、社会福祉支出の増加の勢いが続く場合、10年内に、国の財政は現在、財政危機に見舞われている南欧のようになりかねない」と警告した。無償給食で育った子供らが、10年後に雇用はなく、税金は重く、食糧を底を突いた国で、「憤りのデモ」を行うよう、今日の悪い政治家らがその原因を作っている。