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[オピニオン]「呪いの談論」の流行

Posted October. 19, 2003 23:29,   

「秋の伝説」と呼ばれる米大リーグのワールドシリーズ進出チームが決まった。リーグチャンピオン戦でボストン・レッドソックスとシカゴ・カブスが優勝を目前にしながら、またも頓挫してしまった。両チームいずれも第7戦で勝利を目前にしていたが、空しく逆戦負けを喫したのだ。これについて米国では「呪い」談義が広がっている。ボストンの場合は伝説的なホームラン王のベーブ・ルースを安価でトレードして以来85年間「バンビーノ(ルースの愛称)の呪い」が掛けられているというし、シカゴの場合はペットのヤギと一緒に来た観衆の入場を禁じたため、「ヤギの呪い」が働いたのだという。

◆呪いというのは、特定対象者に対する恨みや憎悪を持って、相手が災難に合うように願う心や祈願を意味する。こうした心理的な祈願状態が特定の現象とつながり、もっともらしい「因果関係」をでっち上げ社会に広めれば、大勢の人々が信じる「神話的関係」に発展することになる。そしてこうした神話的関係は主に否定的な現象と結びつきやすい。「バンビーノの呪い」や「ヤギの呪い」という非科学的(甚だしくは呪術的)な因果についての説明が自明な真理のように受け止められ、今回のワールドシリーズの結果もこうした呪いによるものだと解釈されている。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の「再信任」発言以後、韓国社会は一種のパニック状態に陥りつつある。当事者の意中や本気とは別に、再信任宣言は多くの論議と結びつき広がっている。各政党は党の利害関係によって、盧大統領または相手政党を非難・攻撃し、ひいては恨んでまでいる。最初のうちは国民投票を通じて再信任を問う方向に歩み寄るようだったが、急に各政党が政治的利害関係によって立場を変えたため、政局そのものを混迷に陥れている。各政党の立場変更や相手を恨む「恨みの議論」ばかりが政界を迷走している。

◆盧泰愚(ノ・テウ)元大統領の在職時にも再信任を問う中間評価というものがあった。当時の中間評価は公約事項だったので必ず実現されなければならないものだった。それにもかかわらず、各政党の利害関係によって議論ばかりはびこり実現できなかった。今度の場合は公約事項でもなく、側近の不正に直面した大統領がいきなり提起したものであるため、一層その推移に関心が集まる。お互いが信じられず、相手の思惑を勝手に解釈して非難してきたのが韓国政治の伝統であるためだ。米国で端を発した「呪い談義」が韓国政界でも蔓延しているようで残念極まりない。

白善璣(ペク・ソンギ)客員論説委員(成均館大学言論学教授)baek99@chollian.net