日本の時代錯誤的な歴史認識に対する韓国と中国、そして米国の冷たい批判とけん制が相次いでいる。中国の江澤民国家主席は「歴史問題に火を付けると将来大きな風波が起きる可能性がある」と警告した。米国務省のケリー東アジア太平洋担当次官補も、問題になった日本が歴史わい曲教科書を多くの中学校で採用することになれば大きな問題だと指摘したうえで「円満な解決が将来のために望ましい」と語った。
連日、批判のトーンを高めている韓国政府は、8月末に南アフリカのダーバンで開かれる「2001反人種主義・差別撤廃世界会議」の宣言文などに「過去の歴史に関する正しい教育の必要性」を浮き彫りにする努力を傾注することを決めた。また韓国軍は、合同参謀本部議長の訪日計画を取り消し、日本自衛隊艦艇の韓国訪問を拒否する一方、日本大衆文化の追加開放を無期延期することを決めた。ユネスコ(国連教育科学文化機構)には韓日教科書紛争調停委員会を設けるよう働きかける方針だ。
日本は、自ら犯した侵略と、アジアと世界の人々の記憶にいまだ鮮明に残っている太平洋戦争当時の犯罪行為などを糊塗しようとしたが、もう一度の審判と逆風を招く結果となった。それにもかかわらず日本は、事態を安易に受け止めている。小泉純一郎首相は、敗戦後の戦犯裁判で死刑を受けた東條英機元首相など「A級戦犯」らを擁護するような発言をしている。首相は「A級戦犯らも死刑という刑罰をすでに受けている。何故彼らを他の戦没者と区別しなければならないのか」という旨を述べている。
日本歴史のわい曲を主導してきた「新しい歴史をつくる会」側は自ら自画自賛で一貫する、神話と史実をミックスした問題の歴史書の販促に熱を上げている。その一方では、30万年前の前期旧石器時代の遺物だとして歴史教科書に掲載していた人骨が、わずか500年前のものだったことが判明したという、11日付けの日本報道がある。日本の「歴史への空腹感」と、それを満足させるための身悶えが伝わる。
日本は、隣の国々と世界が共感し認めるような普遍性のある歴史認識を示すべきだ。かつての侵略戦争や植民地支配のような過ちを明確に認め、それを日本の若者世代にありのままに教えることによって、過ちと悲劇を繰り返さないという決意を示すべきだ。正しい歴史にそっぽを向け、隣国との摩擦を甘受してまでうぬぼれに陥るとしたら、短期的にも外交の損失であり、ひいては災いと不幸の種を撒くことになるだろう。