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「核心補給路」クリミア大橋が爆発、プーチン氏に禍

「核心補給路」クリミア大橋が爆発、プーチン氏に禍

Posted October. 10, 2022 09:05,   

Updated October. 10, 2022 09:05

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ロシアとクリミア半島を結ぶ唯一の橋であるクリミア大橋で8日(現地時間)、ウクライナの攻撃と推定される爆発が起こり、橋の一部が崩落した。ロシア軍のウクライナ南部戦線の核心補給路というだけでなく、元来ウクライナの領土だったクリミア半島をロシアが2014年に強制併合したことを象徴するクリミア大橋が崩れたことを受け、ロシアのプーチン大統領が深刻な打撃を受けたと、外信が分析した。

ロシア当局やCNNなどによると、同日午前6時頃、ロシア本土からクリミア大橋を通じてクリミア半島に向かっていたトラックが爆発した。この爆発で、クリミア大橋のクリミア半島行き車線数十メートルが崩落し、道路が切断された。橋の自動車道路の隣の鉄道路にも火が燃え移り、ロシアからクリミア半島に向かっていた貨物列車の燃料タンクに引火して7両が爆発した。死者は3人で、トラック運転手と爆発当時トラックの横を通行していた車両の乗客であるという。米紙ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストによると、匿名のウクライナ当局者は、ウクライナの情報機関であるSBUが今回の爆発を企てたと明らかにした。ウクライナ政府はこれについて公式の立場を明らかにしていない。ロシア当局は、ウクライナのトラックが爆発したと主張している。

クリミア大橋は、2月のロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナ南部戦線にあるロシア軍に兵器や弾薬など軍需品や燃料を補給する最も重要な通路の役割を果たしてきた。プーチン氏は、クリミア半島併合後、18年にこの大橋開通式で直接トラックを運転し、大橋を通過した。ロシアにとってクリミア半島の併合を誇示する象徴物だった。ワシントン・ポストは、「プーチン氏の王冠の宝石の上に火の玉が転がった」とし、「プーチン氏にとって戦略的、象徴的な禍」と指摘した。

主要外信と専門家らは、8日(現地時間)に発生したクリミア大橋の爆発で、ウクライナを侵攻したロシア軍とプーチン氏が窮地に追い込まれると見通した。最近、ウクライナ軍が南部と東部の戦線でロシア軍の占領地を続々に奪還するなど戦場の流れが変わっている状況で、ロシアの軍需物資の核心補給路が深刻な打撃を受け、戦況がさらに不利になったためだ。70歳の誕生日の翌日、14年のクリミア半島併合の象徴であるクリミア大橋が崩落するという屈辱を受けたプーチン氏が、核兵器を使用して報復に出る可能性があるという観測も流れている。

●「ロシア軍の戦争能力、大きな打撃」

クリミア大橋の爆発後に公開された映像には、爆発の威力がどれほど大きかったかがわかる。午前6時頃、クリミア大橋を通じてロシアからクリミア半島に向かっていた貨物トラックから突然閃光とともに真っ赤な炎が吹き上がった。炎はクリミア半島行きの4車線の車両道路だけでなく、鉄道路まで覆った。爆発が発生した地点の前後数十メートルの橋が崩落し、鉄道とそこを通過していた15両の貨物列車にも火が燃え移った。真っ黒な煙を上げて燃えるクリミア大橋を撮った映像がネット上に流された。

鎮火を終えたロシア当局は、クリミア大橋の鉄道の運行が同日午後8時から再開される予定であり、車両の通行も崩れていない反対側の橋を利用して再開すると明らかにした。ロシア当局は、今回の事故でトラック運転手のほかに、トラックの周辺の車に搭乗していた男女合わせて3人が死亡したと明らかにした。トラック運転手の身元や状態については言及しなかった。トラックに載せられた爆発物の種類やトラックの運転手が爆発物について知っていたのかどうかはまだ分かっていない。

西側諸国の外信は、今回の爆発でロシア軍が深刻な打撃を受けたと見ている。クリミア大橋は、ロシアとクリミア半島を結ぶ唯一の陸路だ。ニューヨーク・タイムズによると、ロシア軍はウクライナ侵攻以来、クリミア大橋の鉄道を利用してヘルソン州とザポリージャ州で戦闘中の部隊に兵器や弾薬、燃料などを輸送してきた。ウクライナ南東部のメリトポリを通る鉄道を利用したり、水路や空路を利用したりして軍事物資を補給する次善策もあるが、安全性や輸送量を考えた時、クリミア大橋の鉄道を利用するのがロシアにとって有利だというのが外信の分析だ。このため、ウクライナ軍は2月の戦争勃発後、クリミア大橋を破壊するという警告を続けてきた。同紙は、「クリミア大橋の通行に支障が生じた場合、ウクライナ南部地域のロシア軍の能力に大きな影響が生じるほかない」と指摘した。

●プーチン氏、報復のための核兵器使用に懸念

ウクライナ当局は、今回の爆発がウクライナ情報機関SBUによるものであることを認める雰囲気だ。SBUは爆発後、ツイッターにウクライナの有名詩人の詩を引用して、「夜明けの橋が美しく燃えている」とし、「クリミア半島のナイチンゲールがSBUを迎える」と書いた。ウクライナのポドリアック大統領顧問は同日、ツイッターに「クリミア、橋、開始」、「違法なものはすべて破壊しなければならない」と書いた。ウクライナ国家安全保障・国防会議(NSDC)のオレクシー・ダニーロフ書記は、ツイッターに燃えるクリミア大橋の写真とハリウッド女優マリリン・モンローが「お誕生日おめでとう、大統領」と言うシーンを合成した映像を投稿し、前日70歳の誕生日を迎えたプーチン氏を嘲笑した。

ロシアは当惑する様子だ。ロシア国防部は今回の爆発がロシア軍の補給に何の影響も与えないとしながらも、クリミア半島の住民に1人当たり3キロまで食料品を購入できるようにするなど制限措置を発動した。

さらにプーチン氏としては、70歳の誕生日の翌日、自身の象徴物とも言えるクリミア大橋が攻撃され、自尊心を傷つけられた形となった。英紙ガーディアンは、「米国の自由の女神像(93m)よりも大きなクリミア大橋は、ロシアメディアで『世紀の建築物』と呼ばれている」とし、「プーチン氏が主導したインフラプロジェクトの王冠にある宝石」と指摘した。ワシントン・ポストは、クリミア大橋にはクリミア半島の併合を越え「失われたロシア」を復元するという野望が込められていると指摘した。プーチン氏は18年5月、橋の開通直後にダンプトラックを運転して橋を渡った。

守勢に追い込まれたロシアとプーチン氏が核兵器による報復に出る可能性があるという警告の声も大きくなっている。ニューヨーク・タイムズは、「クリミア大橋の破壊はプーチン氏の指揮力とロシア内部の統制力に対する疑問を抱かせた」とし、「プーチン氏が何らかの形で対応する可能性が高まった」と強調した。CNNも、今回の爆発事故をめぐって、「プーチン氏の『誤った決定』を誘発する契機になる恐れがある」と伝えた。


姜聲煇 yolo@donga.com