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ばらまき総選挙が終わり、「蔵の番人」の時間が始まる

ばらまき総選挙が終わり、「蔵の番人」の時間が始まる

Posted April. 10, 2024 08:41,   

Updated April. 10, 2024 08:41

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10日に終わった総選挙レースで、与野党は互いに対して非難の矢を浴びせた。批判のポイントや内容は異なっていたが、一度だけ言葉が一致したことがある。「相手が勝てば韓国はアルゼンチン(またはベネズエラ)になる」という話だった。与野党が打ち出した減税と開発、現金ばらまきなどの公約がすべて現実化するという不吉なシナリオを想定すれば、過度の心配でもない。経済正義実践市民連合は、与野党の総選挙開発公約が2239個、予算は少なくとも554兆ウォンと推定した。これまでこんな選挙があったかと思うほど、ばらまき公約が乱立している。「気にせずダブルで行く」といった具合のギャンブルを連想させた。一方が鉄道の「部分地下化」を掲げると、もう一方では「全面地下化」で対抗し、「敬老堂の週5日無償昼食」公約には「週7日無償」で応戦した。さらに最大野党「共に民主党」は、「民生回復支援金」13兆ウォン程度は昭陽江(ソヤンガン)に投げる石ころ一つ程度と考える大胆さを見せた一方、与党「国民の力」も租税制度の根幹を揺るがす付加価値税引き下げカードを出す大胆さを見せた。

政府も黙ってはいなかった。年初から先月末まで24回にわたり民生討論会という名目で全国を回り、「ばらまき」を約束した。多すぎて集計すら難しいが、政府が後続措置のためにまとめた課題だけでも240個だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「検討するという言葉は絶対にするな」と言ったので、各省庁は問答無用でやらなければならない。

財源確保策がなかったり、税収パンクが懸念される公約は、今や、「蔵の番人」である企画財政部にそのまま請求書として返ってくることになった。先月、尹大統領は企業の出産奨励金非課税措置について、「企画財政部長官が譲歩してくれた」と言ったが、企画財政部としては単なる褒め言葉では済まされない。今後、大統領室と与野党から「大胆な決断」「冷静な譲歩」を要求されることが多くなるからだ。要求にきちんと応えられなければ、「この国は企画財政部の国なのか」と怒鳴られるかもしれない。

企画財政部も準備しているようだ。崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官は今月初め、幹部会議で、「企画財政部の時間が近づいている」と話した。来月の財政戦略会議、7月の税法改正案の発表など、企画財政部が取り組む課題が続く。限られた財政状況の中で、総選挙期間中に出された公約を解決し、経済の成長のためには、優先順位を見極め、取るものは取り、捨てるものは捨てる慎重な検討が必要だ。

心配なのは、現政権に入ってから企画財政部が「蔵の番人」としての決意を見せたことがあまりないことだ。上場株式の譲渡所得税を納める大株主の基準を緩和する際にも、金融投資所得税の廃止方針を明らかにした際にも、大統領室の意向によって既存の立場を手のひら返しのように変えた。負担金制度の改編なども大統領が指示すれば、1~2ヵ月以内に一斉に行われた。大統領室が課題を投げかければ、最低限の検討もせずにそのまま実施することが多かった。

企画財政部が経済政策を総括し、健全な財政を守るという自尊心と信念があるなら、無理な要求には積極的に意見を述べ、抵抗しなければならない。少なくとも「密談」でもしなければならない。与野党も、財政赤字幅を国内総生産(GDP)の3%以内に維持するよう強制する財政準則の立法化を通じて、「蔵の番人」に大義名分と力を与える必要がある。大騒ぎの総選挙パーティーは終わった。今は、蔵に簡単に踏み込もうとする誘惑に立ち向かい、もう一度鍵をかけなければならない。